「広島、全滅です」原爆の一報を伝えたのは14歳の少女だった。75年前のあの日、彼女が見たものは
75年前の8月6日。広島に原爆が投下されたという「第一報」を知らせたのは、中国軍管区司令部に学徒動員されていた14歳の少女だった。岡ヨシエさん、享年86歳。当時14歳だった岡さんは、空襲警報の連絡業務中に、爆心地から約500mの地下壕で被爆した。晩年まで被爆体験や平和への願いを語り継ぐ活動を続け、2017年5月に他界した。【BuzzFeed Japan/伊吹早織】 写真で振り返る、原爆ドームを取り巻く風景。 爆弾の投下直後、変わり果てた街の様子を伝えるために口をついて出た言葉は、「広島、全滅です」だったと、岡さんは語っている。 広島を襲った惨劇を最初に知らせた14歳の少女はあの日、なにを見たのか。 BuzzFeed Newsは岡さんが56歳のときに証言した内容を記録した広島平和記念資料館平和データベースの映像を一部書き起こした。
「ものすごい紫色の閃光」
交換機に向かって「広島県、8時13分、空襲警報は…」って言いかけた途端なんですね。ものすごい紫色の閃光がパッと目をいりましてね。瞬間、ちょっと頭の中では「電気の事故かな?」とこう思ったわけなんですね。 …と、思う間もなくズーンと体が浮き上がって、そのまま意識がなくなったわけなんです。それで、時間にすれば1分か2分ぐらいのもんじゃないかと思うんですけど、目の前が灰色一色なんですね。 それでおかしい、どうかしたのかしらと思いながらだんだん目を開けてみましたときに、自分が仕事の位置から1m以上飛ばされて、その場で仰向けに倒れてたわけなんですね。 それで「あ、これは何事か起きたのだ。これは大変なことなんだ。これはただ普通の電気の故障ではないな」と思いました。
「新型爆弾にやられたぞ」
外に出てパッと一瞬外を見ましたら、今まであった参謀本部の立派な建物も全然なくて。で、なんかもう全般的に茶褐色って感じだったんですね。赤茶けた感じというわけで。 どうかなったのかしらと、ただキョロキョロ、キョロキョロしていましたら、その時に、防空壕を出ました右側の方にですね、用水路がございまして。その辺りにいらっしゃいました兵隊さんが「新型爆弾にやられたぞ」と、うめきとも叫びともつかない声でおっしゃったわけです。 で、「新型爆弾…?」っていうのを自分自身心の中で繰り返してみたんですね。で、「え、新型爆弾どうなってるんだろう、どういうことだろう」と思いましたから、横からお堀端に上がりまして広島の街を見たわけです。