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ポール・マッカートニーが語る、リンゴ・スターとの友情とソングライターとしての信念

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Rolling Stone Japan

ポール・マッカートニーによる10枚目のソロ・アルバム『フレイミング・パイ』が、アーカイヴ・コレクションの13番目の作品として7月31日にリリースされた。Rolling Stone Japanでは、ポールが2020年に本作を振り返った最新インタビューを全3回にわたってお届けする(全文掲載は日本独占)。この第3回では、リンゴ・スターとの友情と、聴き手に感情移入させるポール独自のソングライティングについて語ってくれた。 【写真ギャラリー】亡き妻リンダが撮影した、ポール・マッカートニーと家族の素顔 リンゴと一緒にやるのは特別なこと ーリンゴが(『フレイミング・パイ』の)レコーディングに参加することになった経緯を覚えていらっしゃいますか? ポール:何か一緒にやれたらきっとすばらしいと、以前から僕はリンゴに言い続けていた。だって僕たちはビートルズ以外ではほとんどふたりで仕事をしたことがなかったからね。ある晩、ジェフがこう言った。「リンゴを呼んだらどうかな」と。僕は「そうしよう」と言った。そしてリンゴが加わったってわけだ。 「ビューティフル・ナイト」は何年も前に書き上げた曲だった。それ以来ずっと気に入っていたし、何度かレコーディングしていたけれども、これっていうヴァージョンを完成させられずにいた。で、リンゴがレコーディングに参加することになったとき、この曲をやってみようと思ったんだ。彼と演奏を始めた途端、あのころに戻ったみたいな気がしたよ。僕たちは長いあいだ一緒にやっていなかったけれども、何も変わっていなかったし、そうしていることがとても自然に感じられた。そして僕たちは「ビューティフル・ナイト」をレコーディングした。最後に、それまではなかったアップテンポのパートを付け足してね。レコーディング・スタジオを出てコントロール・ルームに入るとき、リンゴは「さあ、そのまま、どうぞ」と言いながら、ホテルのドアマンみたいに僕を室内に入れた。マイクが拾ったその言葉はそのまま残したから、注意深く耳を傾けると、彼がそう言っているのがわかると思うよ。 ポール:「ビューティフル・ナイト」を録り終えると、もう少し何かやってみたい気分だった。物凄く楽しかったから、終わりにしたくなかったんだな。リンゴがそこにいて、彼の最高の演奏のおかげで僕たちの気分は乗っていた。で、僕はこう言ったわけだ。「即興でちょっとやってみないか」ってね。 僕はヘフナーのベースを手に取り、リンゴはドラムを叩き始めた。そしてジェフ・リンがギターを弾き、僕たちは3人でリズム&ブルースを演奏した。そこからが腕の見せ所だ。あのときの僕は、どんな芝居が上演されているのかわからないまま舞台に上がっている役者みたいなものだった。あんな感じのジャム・セッションでは何をどんな風に歌うかは、ヴォーカリスト次第だ。だけどうまくやるには何もかも忘れて無心にならなきゃならない。しかもベースを疎かにすることなくね。そして頭を空っぽにしたままどこか神秘的な場所に思いを馳せる。何ものにも縛られず、完璧に即興で演じることが大切なんだ。その曲が「リアリー・ラヴ・ユー」だよ。 ーあなたはこのレコードの大半のトラックでドラマーを務めていますが、リンゴの存在はどんな影響を与えましたか? ポール:魔法だね。そう、リンゴと一緒に演奏するっていうのはいつだって特別なことなんだ。それだけで価値のあることだし、いつだって楽しいんだ。 2019年にロサンゼルスでコンサート・ツアーの最終公演を行ったとき、リンゴはステージに上がって、僕たちと一緒に「ヘルター・スケルター」を演奏してくれた。彼は僕の立ち位置からかなり離れたところでドラムを演奏していた。僕は歌っていたから、ステージの前方にあるマイクから離れるわけにいかなかったからね。だけどマイクの傍を離れられるときーー誰かのソロ・パートとか、そんなときには向き直って、ドラムを演奏するあの男を見ていた。そのとき、リンゴはそこでドラムを叩いていて、僕はベースを弾いていたーー僕は彼を見ながら、その10ヤードの距離を隔ている記憶に思いを馳せていた。そう、彼と一緒にやるっていうのは本当に特別なことなんだよ。近ごろは僕と彼は感情を抑えられなくなる。抑えられなくて当然だし、そうじゃなきゃおかしい。だって、これまでの歳月を思えば気持ちが揺さぶられて当然なんだからね。

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