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騙されるな! がんの「治療もどき」と「最高の治療法」の正しい見分け方

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現代ビジネス

がんの「治療もどき」に騙されないために

 1981年以降、約40年にわたり日本人の死因の第1位に「君臨」し続けるのががん(悪性新生物)だ。遺伝子変異の積み重ねで起こるがんは高齢化が進む日本では、今後増加が避けられない疾患でもある。 【実名公開】医者が明かす「痛い死に方ランキング」ワースト50  実際、2014年時点で全国の年齢別のがんにかかった人の報告である「全国がん罹患モニタリング集計」と厚生労働省の人口動態統計からわかる「全死因死亡率」、さらに平均寿命を計算する「生命表法」を掛け合わせた数学的モデルから、日本人が生涯でがんにかかる確率は男性が62%、女性が47%とはじき出されている。  巷でもよく言われる「2人に1人がガンになる」は、この数字のことを表している。  その一方で現在もがん治療は日進月歩の進化を遂げている。ところががん治療の話題となると、「不必要な手術が行われている」、「抗がん剤は逆に寿命を縮めるだけ」というネガティブな情報が巷の一部では蔓延し、その結果、あやふやな民間療法に大枚のお金をはたく人たちもいる。  だが、一般に病院で行われるがん治療は、そのほどんどが現在の科学の最先端の思考錯誤の結果、生み出されている。  その過程を知ることは、今後がんにかかるかもしれない人、既にがんと診断され治療に臨んでいる人、がん患者を抱える家族の全てにとって安心して治療を受け、まやかしな「治療もどき」に騙されないための一里塚だ。

がん治療、じつは「医師の裁量権」が多くない

 がんではX線撮影、コンピューター断層撮影(CT)、磁気共鳴画像(MRI)で撮影された画像や患者の体内から採取されたがん細胞と疑わしき組織の病理検査、血液検査などの結果を総合して診断が確定する。  診断では、がんの大きさや位置、リンパ節やがんが最初に発生した臓器から他の臓器などへの転移の有無を判断し、がんの進行程度を見極めてから治療を開始することになる。  その際に患者は医師から具体的な治療方針を示されるが、一般の人の中には医師はこの治療方針を医師個人の知識と経験に基づき決めていると思っている人も少なくないようだ。これはがんに限らず、多くの病気の治療で正確と言えない。  かつては確かに医師が医学部で学んできたことをベースに、その後の個人の学習や経験則などを合わせて各病気の治療を行っていた。ただ、近年では、とりわけ「科学的根拠に基づく医療(Evidence-Based Medicine、EBM)」という考え方が重視されている。  「科学的根拠」という言葉に当たり前のことといぶかしがる人もいるかもしれないが、EBMの考え方を丁寧に説明すると「ある病気の治療に関して入手可能な過去の研究全てを集約し、それらを吟味したうえで、信頼性の高いと思われる研究結果から体系的な治療方針を確立し、個々の患者の状況や価値観を踏まえてそれを適応する」という極めて厳格なものである。  この考え方が浸透してきた結果、現在ではほとんどの病気に関して専門医などが集まる医学系学会がEBMの考えに基づき、どのような治療を行うかを具体的に記述した「診療(治療)ガイドライン」を作成し、それも時々の治療の進歩に応じて改訂されている。  実はがん患者が病院で治療開始時に提示されている治療法は、このガイドラインに基づいている。  実際、がんに関する診療ガイドラインの中身を見ると、例えば手術ならば進行度分類でいう比較的早期のステージ1~2までとか、手術後でも再発の可能性が高いのはどのような病状の場合か、そのような場合は手術後に抗がん剤治療や放射線治療をどのように行うか、その場合に使うべき抗がん剤の種類も具体的に記述されている。  簡単に言うと、医師個人の裁量権は極めて限定的で、がん診療の専門病院ほど病院間で治療格差は少ない。

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