体操・橋本大輝、パリ五輪で“シーッ”の真意 相手を称えることで「お互いを高め合って強くなっていく」
音楽ユニットのスキマスイッチがMCを務める東海テレビ・フジテレビ系特番『アスリートの魔曲 あの勝利にはあの音楽があった』(12月1日16:05~)。アスリートたちのパフォーマンスに大きな影響を与える音楽を“魔曲”と命名し、様々なスポーツで語り継がれる“魔曲”の秘密を探っていく番組だ。 【写真】引退会見に臨む橋本大輝選手の先輩・内村航平氏 東海ローカルで放送された第1弾に続く今回は、全国放送。スタジオゲストに登場するパリ五輪団体総合金メダリストの橋本大輝選手も、自身にとっての“魔曲”についてトークしている。収録後に番組の感想のほか、今年を振り返っての心境を語ってもらった。
■“ゾーン”における脳と音楽の関わりに「すごいな」 音楽は幼少期から親しんでおり、「練習のモチベーションにつながるし、試合前にも力をくれるものなので、すごく助けられています」という橋本選手。そんな彼の“魔曲”は、今回のパリ五輪で一緒に戦った谷川航選手とともに、決勝前日に偶然聴いたという楽曲だ。 収録では、脳波と音楽の関係や、“ゾーン”における脳と音楽の関わりなどの研究も紹介され、「すごいなと思いました」と感心。また、レスリングの藤波朱理選手、フェンシングの宮脇花綸選手、MLBの前田健太投手、サッカー元日本代表の中村憲剛氏といった様々なジャンルのアスリートと共演し、「勉強になりました」とのことだ。 ■ロスで金メダルを獲るという一瞬の輝く瞬間のために パリ五輪では団体総合で大逆転の金メダルとなったが、前回の東京大会で金メダルだった個人総合は6位という結果に。「オリンピックが一番の目標なのですが、今回はケガもあって自分の思い描いていたオリンピックとは程遠かったかなと思います」と心境を打ち明ける。 それでも、団体で結果を出せたことに、「みんなのために戦うことができた1年だったと思います」と振り返りながら、「次のロスオリンピックに向けて、もう一度自分を見つめ直して、個人で金メダルを奪還して、団体総合と合わせて悔いのないオリンピックを迎えられたらと思います」と意気込んだ。 そこに向けて、「オリンピックの金メダルというのは、宣言した通りに簡単に獲れるものではないくらい覚悟がいるものだと思っています。そこにたどり着くために、どれくらい努力を積み上げてきたのかが、4年後につながると思います。東京大会が終わってからの3年間以上の努力が必要だと感じたので、これまで以上に厳しくやっていきたい。それでも、上手くいかないことがあると思うので、そこを乗り越えて、ロスで金メダルを獲るという一瞬の輝く瞬間のために、今後も毎日頑張っていきたいと思います」と決意を述べた。 ■最後の結果表示前に「喜ぶのは恥ずかしい」 橋本選手は、パリ五輪の団体決勝で日本に金メダルをもたらした演技後、大きな歓声に包まれた会場の客席に「シーッ」っと人差し指を鼻口に当て、次の中国選手の演技のために静かにするよう促したことも話題となった。 その時のことを聞くと、「自分が金メダルを確信しても、まだ演技が残っている他の国の選手がいるので、そこで喜ぶのは恥ずかしいと思っています。最後に電光掲示板に表示された点数と順位が結果なので、最後まで見てから順位を確認しようと思ったんです」と回答。 戦う相手の選手も称えるスポーツマンシップが称賛されたが、「体操だけでなく、どのスポーツにおいてもあることだと思います。藤波さんも、決勝が終わった後に相手の選手とハグして笑顔でしたよね。負けて悔しくても相手を称えるというのは、お互いを高め合って強くなっていくことになると思いますし、それは次世代にも影響すると思います」と、意義を教えてくれた。