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コロナ時代の失職リスクを乗り越える意外な切り札とは?

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BUSINESS INSIDER JAPAN

「緩いつながり」が、仕事のチャンスを運んでくる

実はこうした緩いつながりこそ、不確実な環境下でキャリアを発展させていくのに有効なのだ。 これは、マーク・グラノベッターが提唱した「紐帯理論」として知られている。紐帯理論では、家族や職場の同僚のような“strong ties(強い紐帯)”よりも、以前の仕事仲間など、年に1、2度会うような“weak ties (弱い紐帯)”の方が、仕事探しにつながるといわれている。 日常的に接点がある家族や同僚は持っている情報が似てくるのに対し、ふだん合わない友人は、本人の知らない、だが、本人にあった仕事情報をもっているからだ。本人が想像もしない有益な情報を提供してくれることがある。 失職リスクが高い社会では、スキルアップだけでなく、人脈も大切にしたほうがよいのだ。

社会に出てから「人とのつながり」が広がらない日本

ところが日本では、社会に出てからの人脈の広がりが乏しい。下図をみてほしい。これは、「交流のある人間関係」の種類について、日本・アメリカ・フランス・デンマーク・中国で調査した結果だ。 どの国も、赤色の「家族・パートナー」、水色の「職場の同僚」が2大人間関係になっている。また、黄緑色の「社会人になるまえの友達」もそれなりに多い。この点は、日本と他国で大きな違いはない。 ところが、日本は、「一緒に学んだ仲間」「趣味やスポーツの仲間」「地域やボランティアの仲間」「社外の仕事関係者」「以前の仕事仲間」が少なく、結果的に交流のある人間関係の種類も、他国に比べて1、2少なくなっている。 長期雇用が根付いていた日本では、人材の流動性が乏しく、長時間労働が常態化しやすいため、人間関係が家庭と職場に閉じ、会社の外の人脈が広がりにくい。働き方改革が進んだいまもなお、社会人大学院やプライベートの付き合いにいい顔をしない上司や職場の雰囲気があるとしばしば耳にする。 でも、会社が生涯にわたって雇用を保障してくれるとは限らない。職業人生が伸び、先行きが不透明になっていけばいくほど、会社の外の人間関係が重要になる。 コロナショックにより、わたしたちは期せずして、オンラインで人とつながりを深められることを知った。離れていて会えないと思っていた古い友人とも、時間さえ調整すれば、オンラインで飲むことができる。 久しぶりに、ご無沙汰している〇〇さんに連絡をとってみるのはどうだろう。 (文・中村天江) 中村天江:リクルートワークス研究所主任研究員。博士(商学)、専門は人的資源管理論。「労働市場の高度化」をテーマに調査・研究・提言を行う。「2025年予測」「Work Model 2030」「マルチリレーション社会」等、未来の働き方を提案するプロジェクトの責任者や、政府の委員を歴任。著書に『採用のストラテジー』(単著)、『30代の働く地図』(共著)などがある。

中村天江

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