「女装ゴルファー」来場。ゴルフ場の対応は?
ゴルフをプレーする際には「ゴルフにふさわしい服装」が求められるが、「女装をしてはいけない」という決まりはない。では、実際に女装したゴルファーが来場した場合、ロッカーはどうする? 風呂やトイレは? 多様性が叫ばれる昨今、ゴルフ場でもこうした対応に迫られるケースが増えてくるだろう。今回は、実際に女装ゴルファーが来場したという静岡県のゴルフ場でのお話。
過日、静岡県のあるゴルフ場にネット予約で来場した5人のうち、4人が女性名で“女装子”(女装をした男性)であったという。その女性名が偽名であったかどうかは不明。 ネット予約では性別を書き込む欄があるが、女性名の4人中、女性の欄にチェックしていたのが1人で、他の3人は性別欄へのチェックをしていなかったという。 そして受付では、女性にチェックを入れた1人に女性用ロッカーキーを、他の4人には男性用ロッカーキーを渡した。しかし女性用ロッカーおよびトイレ、浴場が使用されたかどうかは不明。「他のお客様より何のご指摘もございませんでしたから、もしかしたら、ロッカーも使用されていないのかもしれません。何の混乱も起きませんでしたから」(同GC) つまり同GCでは女装子ゴルファーをチェックインしてから“後追い”はせず、通常客として扱ったのだ。 これについて、「適切な対応だった」と言うのはゴルフ場経営コンサルタントの菊地英樹氏だ。「実は女装子へのゴルフ場側の対応は確立されていません。なので“答え”はないのですが、一般のゴルファーと同じ扱いをしたという点でゴルフ場側の対応は良かったと思います。私はこれをドレスコードの延長ととらえています。女装することは趣味の領域でしょうが、それを“クラブ”内の共通認識で(ドレスコード上)禁止するとなれば、従わざるを得ないということになります。あるゴルフ場では、ロッカーとしてコンペルームを提供したという話を聞きました」 ゴルフ場の顧問弁護士を歴任してきた江口英彦氏は「入れ墨を彫るのも女装するのも法律違反ではないが、問題はそれを不快に思う人がいたときのルールをどうするか。入れ墨は入浴禁止のケースが多いですが、早急にゴルフ場はこの問題に向き合わなければならなくなるでしょう」 ちなみに予約時の名前が本名だったかどうかはさして問題ではないという。芸能人はむしろ本名のほうが少ないし、作家などはペンネームで通用している。女装子も“源氏名”を使うのは自由ということだ。ただホールインワン保険などは証書の名前と一致しなければ下りないという。 世の中は「性の多様性」に向けて動いている。すでに国内主要企業は明文化し、性的少数者への取り組みが始まっている。その項目のなかに「誰でも使えるトイレや更衣室」があるが、ゴルフ場も、その課題について考えていく必要があるかもしれない。 週刊ゴルフダイジェスト1月25日号より