悲喜交々の37号車Deloitte TOM'Sの予選「少し攻めたタイヤ選択をした」決勝でどう活きるか/スーパーGT最終戦鈴鹿予選
鈴鹿サーキットで行われている2024スーパーGT第5戦SUZUKA GT300km RACE GRAND FINAL。GT500クラスは公式予選で36号車au TOM’S GR Supraがポールポジションを獲得し、決勝レースを待たずに今季のシリーズチャンピオンを決めた。今回はわずかな可能性を信じて逆転チャンピオンを狙いにいったライバルも複数いたが、そのなかで37号車Deloitte TOM’S GR Supraは、予選と決勝でフルポイントを獲るために選んだ戦略を採用。Q1の笹原右京のアタックが終了した時点では2番手につけていたが、合算タイムではトップから1.7秒遅れの9番手に終わった。 【写真】予選Q1で2番手タイムをマークした笹原右京(Deloitte TOM'S GR Supra) 前回のもてぎ大会では車両トラブルによりレース前半に戦線離脱を余儀なくされた37号車Deloitte。トップから23ポイント差ということで、逆転チャンピオンの第一条件がポール・トゥ・ウィンだった。それを狙うために、37号車Deloitte陣営は攻めの戦略で今大会にやってきた。 「今回、僕たちとしては予選でとにかく前にいかないといけなかったので、それを見越した少し攻めたタイヤ選択をしていました」 そう語るのは37号車担当の大立健太エンジニア。予選時のコンディションも考慮して、Q1とQ2で別々のコンパウンドをマーキング登録した。 「公式練習でもいろいろと比較をしていったなかで、最後の専有走行で履いたタイヤの感触が良かったです。ただ、Q1だとブレーキも冷えている状態でニュータイヤでアタックするという状況だったので、(Q2で選んだものとは)別の種類のタイヤを選んだ方が安パイかなというところでした。それでも、右京のQ1はブリヂストン勢ではトップでしたし良かったと思います」と大立エンジニア。 Q1を担当した笹原は「トップタイムには及ばなかったものの、同じTOM’Sの36号車を上回る走りができた」と笑みをこぼし、「ノーウェイトの同一条件で36号車に勝てたというのはすごくポジティブです。24号車(リアライズコーポレーションADVAN Z)が速くて0.007秒差でトップを取れませんでしたが、自分としてはできる限りのことはやれましたし、トヨタ勢とブリヂストン勢で最上位を獲れたので、個人的には満足しています」とQ1を振り返った。 一方のQ2では午前の専有走行で相性が良かったコンパウンドを選び、ジュリアーノ・アレジもセッション序盤から積極的にタイムを更新していったが、最終的に1分45秒086となり、総合で9番手となった。 「(Q2に関しては)データをまだ確認できていないので詳しいことはわかりませんが、タイヤのピークをうまく出しきれなかったのかなと感じています」と大立エンジニア。実際にアタックしたアレジも手応えがつかめなかったようで、「ウォームアップが思うようにいかなくて、グリップ感が十分に得られていない状態でした。できるだけ頑張ったけど(タイヤ選択で)チャレンジしたメリットをあまり出せなかったです」と状況を説明した。 スーパーGTでは第4戦富士大会の時に予選ルールの一部改定が発表され、これまではQ1とQ2で同じセットのタイヤを使用しなければいけなかったが、シーズン後半戦は各セッションで1セットずつニュータイヤを使えることとなった。 ただし、そのタイヤマーキングは予選前に行われることになり、あらかじめQ1とQ2でどの種類のタイヤを履くかを決める必要があると言うのが、最新ルールにおいては難しい部分となる。 そこに関して大立エンジニアは「どうしても“決め打ち”という感覚は否めないので若干難しいところはありますね。とはいえ、エンジニア目線で言うと今回のタイヤ選択は間違っていなかったのかなと思います」と見解を述べていた。 この予選で今季のチャンピオン争いは決着がついたが、37号車にとってはランキング3番手のKeePer CERUMO GR Supraと1ポイント差後方につけており、決勝レースでランキングを逆転したいところ。 大立エンジニアは「公式練習でロングランもしていて、手応えはあるので特に心配はしていないです」と自信を持っていたほか、アレジも「37号車のポテンシャルが高いことは朝から分かっていますし、ランキング3番手に上がるチャンスもあるので、決勝では良いレースをしたい」と気合いが入っている様子だった。 [オートスポーツweb 2024年12月07日]