裁判官が生んだ沖縄「嘉手納基地爆音訴訟」の血税争奪戦 「賠償金ビジネス」に乗り出す弁護士
裁判官がいつも常識的であるとは限らない。その証拠の一つが「嘉手納基地爆音訴訟」の一連の判決だとは言えないだろうか。 2019年9月11日、福岡高裁那覇支部で、嘉手納基地の周辺住民2万2034人が夜間、早朝の飛行差し止めと騒音被害の損害賠償を求めた「3次」訴訟の控訴審判決が言い渡された。飛行差し止めは退けられたものの、国が支払いを命じられた賠償金は過去最高、総額261億2577万円に上ったのだ。 そもそも、社会党系の公務員労組などを母体に「嘉手納米軍基地爆音防止住民共闘会議」が組織され、「1次」訴訟が起こされたのは1982年のこと。弁護団には、のちに社民党副党首になる照屋寛徳代議士らが名を連ね、原告住民はまだ907人に過ぎなかった。 司法関係者によれば、 「その裁判で、被告である国が主張したのは、“危険への接近論”でした。要するに、基地が騒音を出すのを承知のうえで、そこに引っ越してきたのなら賠償は認めるべきではないと訴えたのです」 12年後に那覇地裁で下された一審判決は、国に「うるささ指数」が80以上の区域の住民768人に対し、総額8億745万円の支払いを命じるものだった。 (カネに振り回される人々のドラマを描く「週刊新潮」の連載コラム「MONEY」より)【2019年10月3日号】
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「週刊新潮」2019年10月3日号「MONEY」欄掲載