袴田巌さん、無罪確定後初の後楽園ホールもリング登場はならず…直前に気持ち急変 姉・ひで子さん「来られたことは、やっぱりよかった」【ボクシング】
1966年に静岡県で起きた殺人事件で、今年9月に再審無罪が確定した元プロボクサーの袴田巌さん(88)が29日、無罪確定後初めて後楽園ホールを訪れた。第3試合終了後には58年にわたって袴田さんを支えた姉のひで子さん(91)がWBCバンタム級王者・中谷潤人(26)=M・T=とともにリングに上がり「58年戦ってようやく勝ちました。本当にみなさんの応援のおかげでございます」と感謝した。 ◆袴田巌さんの姉・ひで子さん「58年戦ってようやく」リングで再審無罪報告【写真】 日本プロボクシング協会(JPBA)は、再審が開始される前の2005年から組織的に袴田さんをサポート。袴田巌支援委員会の新田渉世委員長(川崎新田ジム)は80回以上も接見に訪れた。 この日、ひで子さんに後楽園ホールに行くと伝えられた袴田さんは喜び、スーツに着替えちょうネクタイまで締めたという。リングにも上がる予定だったが、直前に気持ちが急変し、車いすでリングサイドを訪れるのみとなった。会見にも現れたが、意味のある会話ができない状態になっていた。 ひで子さんは「巌もほんの5分ぐらい前までリングに上がる気でいたんですがね。これも拘禁症の後遺症だと思う。ボクシング観戦もこれが最後ってことじゃない。ボクシングは巌の青春そのもの。ボクシングで鍛えていたからがんばれた。自由になって、後楽園ホールまで来られたことは、やっぱりよかったと思っております」と心境を語った。 袴田さんに直接声をかけた中谷は「おめでとうございますと、直接伝えることができてうれしかったです。検察の方が謝罪に来られたときのひで子さんの言葉で、心も広い方なんだと思っていて。心も広くなければ長く戦っていけないんだと感じました」と感無量だった。
中日スポーツ