健康保険から埋葬料が給付されるって本当? いくら支給される? どんな手続きが必要?
最近では家族葬という言葉が一般的になり、亡くなった方を葬る場合、以前のように大々的な葬儀というよりは、近親者のみで静かに執り行うパターンが増加傾向にあります。それでも、費用負担は覚悟しなければなりません。 実は、健康保険から若干ではありますが埋葬に関わる費用が支給されることをご存じでしょうか? その仕組みをご紹介します。
保険制度は病気や出産にかかる費用だけではない
健康保険の仕組みからまとめましょう。 日本国民であれば、公的医療保険に加入しています。私たちが全国の医療機関で比較的軽い負担で医療を受けることができているのは、この「国民皆保険制度」のおかげだということはご存じのとおりです。 この健康保険制度は、医療機関で治療を受けたときや出産にかかった費用だけではなく、亡くなったときの埋葬にかかる費用の一部も支給されます。 ではその気になる金額ですが、ズバリ「5万円」です。少ないと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、何かとお金がかかる局面での給付はありがたいですよね。 具体的に、「どこから誰に」支給されるのかについて見ていきます。
「どこから」支給されるのか
健康保険制度とまとめていますが、自営業、会社員、退職者、75歳以上の人と分けて考える必要があります。 図表1
まず、どこから支払われるのか、というと、それぞれの所属する健康保険制度から支給されます。 図表1に示したとおり、自営業や無職の人、その扶養家族の場合は国民健康保険から、会社員(主に大企業の従業員とその扶養家族であれば健康保険組合、中小企業を中心とした従業員とその扶養家族であれば協会けんぽ、公務員、教職員等その扶養家族であれば共済組合)の場合は、それぞれ所属する組合や協会けんぽから支給されます。
「誰に」支給されるのか
例えば、協会けんぽの場合は、加入者が亡くなったときは、実際に埋葬を行う人に対し埋葬料もしくは埋葬費が支給されます。 例えば、会社員だった夫の勤務先は協会けんぽに加入しているとします。加入者である夫が亡くなった場合、埋葬を行う妻に支給されます。埋葬費の対象としては、火葬料、霊柩(れいきゅう)車代、霊前供物代、霊柩運搬代、僧侶の謝礼等が該当します。ただし、これは業務外で亡くなった場合なので、業務上の事故で亡くなった場合は労災の適用になります。 独身の会社員で身寄りがいなかったという場合は、実際に埋葬を行った人に、埋葬料(5万円)の範囲内で実際に埋葬に要した費用が「埋葬費」として支給されることになります。 夫の被扶養者であったパート勤務の妻が亡くなった場合、夫に対して「家族埋葬料」として支給されます。