存在自体が奇跡かも? マツダMX-30 R-EV 長期テスト(最終) 航続距離はBEVより優れるけれど・・
航続距離はバッテリーEVより優れるけれど
エンジンオイルの警告灯は、新しい車両でもしばしば点灯した。3000km走行後に、念のためレベルゲージを確かめてみると、オイル量は下限のギリギリ。マニュアルに沿って、1.0Lを補充している。 ところが、その後に複数の警告灯が点灯。普通に走れたことは走れたのだが、量産車として、筆者がこれまで遭遇したことのない状態といえた。燃費は僅かに改善し、110km/hのクルージングで10.8km/Lを得ていたのだが。 不調を抜きにして、MX-30 R-EVがバッテリーEVより優れているか、という問いに関しては、最大の課題といえる航続距離ではイエス。だが、総合的にはプラグイン・ハイブリッドの方が優れていることも否定できない。 同等クラスのプラグイン・ハイブリッド、アウディQ3 TFSIeなら、駆動用バッテリーの充電が切れても14.5km/L程度は走れる。マツダらしい、チャレンジングな内容とはいえるのだけれど。
セカンドオピニオン
インテリアは素晴らしいし、走りも素晴らしい。だが、ロータリーエンジンによるレンジエクステンダーの存在意義がはっきりしない。市街地中心なら、現在のバッテリーEVでも航続距離は充分得られる。遠出が多い場合なら、もっと燃費の良いモデルが選べる。 確かに、MX-30 R-EVは興味深く好きになれるクルマだ。しかし、知人にオススメすることは難しいかもしれない。 イリヤ・バプラート(Illya Verpraet)
テストデータ
■気に入っているトコロ 飛行機のようなサイドウインドウ:小さいものの、サイドウインドウがリアシートの閉じ込められ感を軽減している。旅客機の窓のようにも思える。 ロータリーコントローラー:センターコンソールのコントローラー/ボタンで、インフォテインメント・システムは操作しやすい。 上質なインテリア:コルク材を用いたインテリアは、創業期のマツダを連想させるもの。明るい色調も好ましい。 ■気に入らないトコロ 油分の消費量:ロータリーエンジンはカッコいいけれど、ガソリンとエンジンオイルの消費量が激しい。 リアドアの実用性:スタイリッシュだとしても、観音開きのドアは使い勝手が今ひとつ。 ■走行距離 テスト開始時積算距離:413km テスト終了時積算距離:8067+4319km ■価格 モデル名:マツダMX-30 R-EV 170PS エクスクルーシブライン(英国仕様) 開始時の価格:3万6650ポンド(約747万円) 現行の価格:3万3495ポンド(約683万円) テスト車の価格:3万8450ポンド(約784万円) ■オプション装備 ソウル・レッド・クリスタル塗装+ブラックサイドパネル+ブラックルーフ:1800ポンド(約37万円) ■燃費&航続距離 カタログ燃費:100.0km/L タンク容量:50.0L 平均燃費:10.5km/L 最高燃費:44.1km/L 最低燃費:9.6km/L 航続可能距離:531km(ガソリン) ■主要諸元 全長:4395mm 全幅:1795mm 全高:1555mm 最高速度:140km/h 0-100km/h加速:9.1秒 車両重量:1881kg パワートレイン:永久磁石モーター+シングルローター830cc 自然吸気 使用燃料:ガソリン 駆動用バッテリー:17.8kWh 最高出力:170ps 最大トルク:26.4kg-m ギアボックス:1速リダクション(前輪駆動) トランク容量:332-1137L ホイールサイズ:18インチx7.0J タイヤ:215/55 R18 ■メンテナンス&ランニングコスト リース価格:352ポンド(約7万2000円/月) CO2 排出量:21g/km メンテナンスコスト:なし その他コスト:36ポンド(約7000円/エンジンオイル) 燃料コスト:1390ポンド(約28万4000円/ガソリン) 燃料含めたランニングコスト:1426ポンド(約29万1000円) 1マイル当りコスト:0.19ポンド(約39円) 不具合:異常振動、エンジンオイル警告灯、パワートレインの不調
ジャック・ハリソン(執筆) 中嶋健治(翻訳)