【ライバルPHEV以上の魅力】ジープ・レネゲード4xe トレイルホークへ試乗 前編
ジープ初のPHEVでCO2削減を狙う
text:Matt Saunders(マット・ソーンダース) translation:Kenji Nakajima(中嶋健治) ジープとしては初となる、プラグイン・ハイブリット(PHEV)のレネゲードが登場した。古くからのジープ・ファンは、ラダーフレームを失うことと同様に、PHEV版にも疑問を持つかもしれない。 【写真】レネゲードとラングラー 競合PHEV (151枚) しかし、存在理由は明白。欧州市場では、ジープというブランドはここ10年で急成長を遂げている。その成長を欧州で継続させるには、可能な限り迅速にCO2の排出量を削減しなければならない。 CO2の排出量を減らせれば、英国では自動車税の減額にも結びつけられる。ジープにとって、プラグイン・ハイブリッドは大切な存在なのだ。コンパスやラングラーといった、より本気のジープにもPHEV版が追加される予定があることは、ニュースでもお伝えしているとおり。 ジープというブランドは、古くから続くテーマを引用して、現代モデルの差別化につなげてきた。通常のクルマでは到達できないような、日常からかけ離れた場所へ向かうことができる、圧倒的なオフロード性能。そして、より自由なライフスタイル。 そんなイメージで、ラングラーは売れてきた。それがジープだ。 一方で、オペル・グランドXやミニ・カントリーマン(クロスオーバー)など、PHEV版も選べるSUVが登場している。実際SUVに乗っていても、山に登るのではなく、日常的にオフィスへ向かうことの方が多いはず。
都市部で使えるレネゲード
英国では、会社からの貸与車両の場合、PHEVは自動車にかかる税金を安くできる。かといって、貸与車両で週末に大自然へ冒険へ出かけようと思う割合は、どの程度あるのか疑問ではある。 レネゲードのパンフレットにも、オフロードと共存するライフスタイルが描かれている。ジープの担当者も、多くのオーナーが荒野を楽しんでいると話すだろう。しかし、PHEV版のレネゲードは少し違うはず。筆者は、悪路を目指す人が多いとは思わない。 都市部で使えるレネゲードだからこそ、CO2の排出量の少なさがアピールポイントになる。英国で税率の基準となる、50g/kmのCO2排出量を切るには、3段階あるトリムグレードのうち、下側の2つを選ぶことになる。 ほかのPHEVと同様に、ガソリンエンジン版と比べると価格はまだ高い。レネゲード4xeの場合、エントリー・グレードのレネゲードより約40%多い予算が必要だ。価格は3万ポンド(402万円)を超えるが、安い税金で、ハードルは下げられるだろう。 AUTOCARでは、PHEV版レネゲードの190ps版をイタリアで試乗済み。今回試乗するのは240psのトレイルホーク。英国ではトップグレードとなり、CO2の排出量は50g/kmを超え、ほかのグレードより英国での税率は高くなる。 レネゲード4xeが搭載するエンジンは1.3Lの4気筒ガソリンターボで、前輪を駆動。さらに60psの電気モーターが、後輪を駆動する。