<インド その6~ゴミの風景>-高橋邦典
数日前にネットで、インド南部のコインバトール発のこんなニュースを目にした。 「正しく捨てられていないゴミのせいで、鳥が傷ついている」 家庭から出されたゴミに混ざっていたネズミ捕りに、4羽のムク鳥が張り付いて動けなくなったらしい。ネズミ捕りといってもパチンと罠が落ちて挟み込むものではなく、大きくて強力なゴキブリホイホイ型の粘着性ものだ。発見者が通報して救助されたから良かったが、見つからなければそのまま餓死か、他の動物の餌食になっていただろう。路上を徘徊する牛がプラスチックの容器を飲み込んで手術する羽目になったり、ゴミに混ざっていたカミソリの歯で犬や鳥が傷ついたりと、こういったゴミ絡みの問題は日常茶飯事に起こっている。ときには動物のみならず、子供が犠牲になることもある。 インドでの暮らしで心底うんざりさせられたのが、いたるところに散らばるゴミの山だ。誰だって、ゴミに囲まれて暮らしたいとは思わない。どんなに貧しいスラムの住人でも、自らの部屋の中は頻繁に掃除し、綺麗に保っているものだ。それなのに、一歩外へ出れば、何の躊躇もなしにポイ捨てだ。近所の道路や公園がゴミで覆われても、気に留める様子もない。そんな人々の意識が変わらない限り、ゴミはインドの風景の一部になり続けるだろう。 (2014年10月撮影)