安住アナはなぜ「慧眼」を「すいがん」と読んだのか 「誰何」「弥縫」「泥む」を読めますか?
同書で安住氏について宮崎氏が指摘しているポイントは二つ。 ・慧眼という表現をテレビで用いようとした安住さんには敬意を抱く。(「禁じ得ない」自体が若者は使わなくなった表現だが、ここでは「敬意を抱かずにはいられない」という意味である) ・この読み間違いを招いた背景には、戦後、ルビ(読み仮名)をなくしていくという間違った方向に新聞や出版界が進んでいったという問題がある。 大人が目を通すメディアの中では、少年マンガ雑誌を除くとほとんどの漢字にはルビが振っていない。現代人はこの状況に慣れてしまっているのだが、実は戦前はもっとルビが大活躍していた。そのため、子どもも大人の本を読めただけではなく、大人もまた読み間違いに気づきやすい環境があった。 ところが戦後、昭和21年(1946年)に、ある種の改革が行われ、「ルビ無し」が原則になってしまった。その影響を宮崎氏はこう述べている。 「振り仮名、ルビの排除は、活字離れを促しただけではなく、難しい漢字の使用を控える現象を継起(けいき)させた。書き手や編集者はルビが振られないことを前提にして、多くの人々が『読める』、易しい言葉を極力使おうとする。こうして出版物や定期刊行物が、ルビなし、振り仮名なしで読み得る『易しい』言葉によって満たされていく……。しかもこの貧困化は悪循環するのだ」(同書より) 宮崎氏はこうした状況を憂い、同書の中で数々の自ら選んだ「上級語彙」を紹介している。その中には、それなりに本を読んできたという自負のある方でも読めない、あるいは読み間違いそうな単語も数多くある。以下の単語のうち、何個まで自信を持って「読める」と言えるだろうか。 回答(読み方と意味)は本記事の最後にまとめておくこととする。 (1)衒学 (2)弄する (3)訝しい (4)倦ねる (5)誰何 (6)詮無い (7)弥縫 (8)暮れ泥む (9)軌を一にする (10)誤謬