日本のダブルダッチがパリ五輪 2024の“エキシビジョンアクト”に!
「あくまで通過点」
日本のジャンプロープシーンを牽引し続け、今もなお現役として数々のチャレンジに挑む。長年にわたって現場で戦い続けているKO-YAへ思うところを訊くと、こんな言葉が返ってきた。 「オリンピックにはなってほしい。けど、あくまで通過点に過ぎないとも思っています」 「一番は、このジャンプロープというカルチャーが世界に広がってほしいということ。僕らが『カッコいい』と思って積み重ねてきたものが、より広がってほしいなと思うんです。でも、だからこそオリンピックは重要な通過点になると思うから、絶対になってほしい。 それが広がって、いつかジャンプロープのワールドカップが生まれたり、あとは普段から切磋琢磨して高め合っている他のストリートカルチャーと一緒にワールドカップが出来たりしたら、めちゃくちゃ面白いなって」 シーンを“自分ごと”として語る彼の言葉には、決してただの“夢物語”ではない力強さがあった。
そんなKO-YAにだからこそ、最後に敢えて彼自身のこと、これからへの思いについて訊いてみた。 「僕個人としては、まずダブルダッチ・ジャンプロープをもっと広めるキッカケになりたいと思っています。そのために、1つは今ジャンプロープをやっている世界の人たちとコミュニケーションを取って、素敵だと思ったものをみんなでシェアしていきたい。もちろん次世代の子たちのことも考えて。 そしてもう1つ、ダブルダッチを知らない、やっていない人たちへ『こんなヤベえもんがあるんだ!』ってことを伝えたい。 イベントに脚を運んだり、出たりということも大切ですが、今はSNSの時代なので、いわゆる“空中戦”での身捌きも大切だなと思っています」 「自分自身、もしオリンピックになった時にどのような関わり方をするか、出来るかは分かりませんが、きっと正式種目化のキッカケを作る側の立場にはいるだろうと、責任感は感じています。 でも欲を言えば……パリ五輪を見て、やっぱりオリンピック出てぇ~、自分が選手として金メダル獲ってみたいなって思いましたね(笑)。次に可能性があるのが8年後のオーストラリアのブリスベン五輪とのことで、8年後だと自分は42歳。出れるのか、そもそもプレイヤーとしてやっているかすら分かりませんが。 ただ、B-GIRL AYUMIさんも40歳でオリンピックのステージに立っているから、別に全く無い話ではないなとも思っています。希望は捨てずに」 KO-YAの言葉がますます熱を帯びる。シーン全体を支える自負と、いちプレイヤーとしてのあくなき探究心が、今日まで彼がトップランカーとして輝き続けてきた理由なのかもしれない。 今後の思いを語るなかで、再びKO-YAの言葉がシーン全体の話へと戻っていく。 「あと、さっきジャンプロープの仲間にシェアしていきたいという話もしましたが、むしろ“刺激を与えたい”とか“刺したい”という感覚に近いかもしれませんね。 世界一丸となってムーブメントを起こしていく上で、ジャンプロープ全体の持つスポーティーな感覚と、僕ら日本のダブルダッチカルチャーが培ってきたカルチャー的感覚、そこを織り交ぜた唯一無二のものを目指していきたい。輸入したり、逆輸入してもらったり。そのためにも、自分が説得力を持った存在でなければならないなと思っています」 2022年、“個人戦”でチャンピオンに輝いた瞬間 日本のジャンプロープを支えるKO-YAの存在は、表からも裏からもシーンに強い影響を与え続ける、唯一無二のトッププレイヤー。 彼が随所に口にした先達への感謝と、未来への希望。インタビュー中盤でも語ってくれた、ダブルダッチというスポーツの〈人間的にも成長させてくれる〉という魅力を体現するような生き様は、まさに彼がダブルダッチそのものであることを証明するようなものだった。 この先のことは分からない。しかし思えば、日本にダブルダッチが“輸入”された1992年から、暗中模索の状態でカルチャーを築き上げてきた。そこから30年余りが経過し、確実にシーンは前進している。まだ見ぬ未来と、感じた手応え。道なき道をジャンプで進む旅人たちの足音が、今日も響き続けている。
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