地域の農業どう守る? 名古屋で種子法廃止の影響考える学習会
「愛知県でも条例制定を」と提案
「種子採りは大変な作業なので公的事業として必要だった。あるいはコミュニティの中で種子採りをする農家と契約して、他の農家も選別作業に参加する『参加型育種』という方法もある」などとも紹介し、「フードデモクラシーやアグロエコロジーなどというように、大量生産される工業的な食を見直せば、根底から社会を変えられる。種子法廃止をきっかけにこうした運動が生まれれば、地域を変える力になるのではないか」と呼び掛けました。 全国では新潟県や兵庫県、埼玉県などが独自の条約を制定して公的種子事業を継続。長野県でも積極的な動きがあり、他に70以上の自治体で意見書が出ているそうです。印鑰さんは愛知県からも意見書は出ているが、さらに踏み込んで条例を制定すべきではないかと提案しました。 会場からは「私も農業をしているが品種を守るのは本当に大変。企業には任せられない」という声の一方、種子法で各都道府県単位に栽培が限られていた品種が他地域でも栽培できるようになるなど「廃止でいい点もあったのでは」などと指摘する意見が出ました。 主催したあいち有機農業推進ネットワーク代表の松沢政満さんは「愛知県では一時期、農業試験場がモンサント社と遺伝子組み換えの稲を共同開発する動きがあったが、市民の猛反対で断念した。それ以来、行政と市民のコラボレーションはうまくいき、米の作付面積では県が開発した『あいちのかおり』がコシヒカリなどを抑えてトップに立っている。こうした地域の種子をどう守っていくかを、これからも考えたい」と話していました。 (関口威人/Newdra) ---------- ■関口威人(せきぐち・たけと)1973年、横浜市生まれ。中日新聞記者を経て2008年からフリー。名古屋の環境専門フリーペーパー「Risa(リサ)」編集長、「なごやメディア研究会」代表などを務める。2018年から名古屋のライター、カメラマンによる取材チーム「Newdra」も結成。