砂村光信氏 天理大、打倒・関東を意識し…早大を押し込めたフラットパス
◇ラグビー全国大学選手権決勝 天理大55―28早大(2021年1月11日 東京・国立競技場) 【砂村光信 視点】守備ラインを速く押し上げるチームは多いが、天理大は速く上がって攻撃を待つのではなく、「走り込んで、ぶち当たる」特徴がある。走り込んで接点を50センチ~1メートル押し下げれば、元の地点にいた攻撃側の選手はその分余計に後ろまで戻ってサポートに入る必要があり、球出しは遅れ、疲労もたまる。早大が攻撃のテンポを上げられなかった要因だ。序盤からダイレクトタッチやノットストレートなど細かいミスが目立ったのも、接点でプレッシャーを受けたことが大きい。 天理大は大学選手権初戦で流通経大のフラットパスを見て自分たちも導入したという。関西リーグならギリギリのパスを使わなくても勝てたが、貪欲に取り入れたのは、過去3年間、悔しい思いをした4年生が最初から打倒・関東を意識していたからだろう。攻撃はCTBフィフィタやロックのモアラが目立ったが、日本人選手だけで接点を制圧したからこそ彼らが外でボールを持つことができた。 フィフィタはピッチ全体を見渡し、余裕を持ってプレーしていたのが印象的だった。かつての外国出身選手は力任せに突破する一方でミスも多かったが、近年はバランスのいい選手が増えてきた。日本人選手のレベルが上がり、簡単に突破できなくなった半面、チームに貢献する質の高いプレーが求められてきていると思う。(元U―23日本代表監督)