ラオスで外国人旅行客の中毒死疑い相次ぐ 酒にメタノール混入か
バックパッカーに人気のラオス中部バンビエンで、外国人旅行者がメタノール中毒の疑いで相次いで死亡する事件が発生し、波紋を呼んでいる。有毒なメタノールが、被害者らが飲んだ酒に混入していた可能性があり、複数の欧米メディアは少なくとも6人が死亡したと報じた。ラオス政府は23日に声明を発表し、事件の捜査に乗り出したことを明らかにした。 AP通信や英BBCによると、10代後半~20代のオーストラリア人女性2人と英国人女性1人が、飲酒後にメタノール中毒の疑いで死亡した。米国人男性1人とデンマーク人女性2人も中毒死した可能性があるが、詳しい死因は明らかになっていないという。 オーストラリア人の女性2人はいずれも19歳で、13日、宿泊していたホステルの部屋で倒れているところを発見された。隣国タイの病院に搬送されたが、数日後に死亡した。タイ当局はこのうち1人について、高濃度のメタノールによる脳浮腫が死因としている。 2人は夜遊びに出かける前に、このホステルが「ウエルカムドリンク」として出したラオス産ウオッカを飲んだという。ホステルの経営者は同じ酒を100人以上の客に提供したが、他に体調不良を訴えた人はいないと説明している。 ラオス政府は23日、「バンビエンで外国人観光客が死亡したことに深い悲しみを覚える」との声明を発表した。警察当局が既に複数の容疑者を拘束し、捜査を進めているという。 メタノールは工業用アルコールや接着剤などに含まれる。無色透明で、摂取するとめまいや嘔吐(おうと)の症状が出て失明したり死亡したりすることもある。 英紙ガーディアンによると、東南アジアでは米やサトウキビなどから密造酒を作る文化があり、酒に含まれるエタノールの代わりに、安価なメタノールを混ぜることもあるという。バンビエンは川沿いの観光地で、パーティー好きの若者らが集まる。【畠山哲郎】