サンリオ株が10年超ぶり下落率、1500億円売り出しで需給悪懸念強まる
(ブルームバーグ): サンリオ株に売り注文が殺到し、10年超ぶりの下落率を記録した。主要取引銀行や経営陣が保有する株式の売り出しを発表し、市場流通株式の増加による需給悪化を懸念する動きが一気に強まった。
27日の日本株市場で同社株は一時前日比17%安の4302円と大幅反落。日中下落率は2014年5月22日(23%)以来、10年半ぶりの大きさだ。同日の東証株価指数(TOPIX)採用銘柄の下落率でトップ。
サンリオは26日、辻朋邦社長や三菱UFJ銀行、三井住友銀行などが保有する同社株のうち、2587万1800株を売り出すと臨時報告書で発表した。同日の終値ベースでは最大約1535億円規模となる。売り出し価格は12月10日にも決定する。
コーポレートガバナンス(企業統治)を充実させる観点から株式市場では政策保有株の見直しが進んでおり、サンリオでも一部株主と議論を重ね、早期の政策保有株縮減と株主層の多様化を目的に売り出しの実施を決めた。今回の売り出しで流動性を向上させ、海外機関投資家の取り込みを図ると説明している。
クイッディティー・パートナーズのアナリスト、トラビス・ランディ氏は売り出しによる反射的な影響があり、それがモメンタム投資家による売却を招くと指摘した。韓国NH投資証券の日本株アナリスト、キム・チェユン氏は今のサンリオにとって事業拡大のために「必要な決定だった」と分析。次の株主還元の話が出てこない限り、元に戻るのは難しい気はするが、あまり長引くものではないと述べた。
ジェフリーズ証券の栗山隼輔アナリストも、短期的には株価への圧力が予想されるとの認識を示した一方、キャラクターポートフォリオの多角化など同社のファンダメンタルズに対する評価は変わらないとし、投資判断「買い」を継続した。
サンリオが1日に発表した第2四半期累計(4-9月)営業利益は前年同期比77%増の236億円。「ハローキティ」50周年関連の施策や複数キャラクター戦略による好調が持続し、国内の物販・テーマパークやライセンス事業、海外事業がいずれも伸びた。下期は販売管理費の大幅な増加を想定するものの、通期(2025年3月期)の営業利益計画を371億円から410億円(前期比52%増)に上方修正している。