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『ドロップ』~『OUT』に見る、ヤンキー文化の変化 現代版ヤンキーには非喫煙者も?

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リアルサウンド

 お笑い芸人・品川ヒロシ著の小説『ドロップ』(リトルモア/漫画版は秋田書店)をご存じだろうか。不良に憧れた少年・ヒロシが私立中学から狛江の公立中学へと転校。そこで不良の井口達也と出会い、憧れの不良生活をスタートさせる……という物語。 【画像】漫画版『ドロップ(1)』表紙  男性なら誰もが一度は「不良って、ちょっとカッコいいかも」と思ってしまうはずだ。その思いを存分に表現したストーリーが共感を呼び、映画化もされるほど大ヒットとなった。 ■時代と共に変化するヤンキーの描かれ方  現在ヤングチャンピオンにて連載されている井口達也原作、みずたまこと作画の漫画『OUT』(秋田書店)は、『ドロップ』に登場した井口達也(いぐちたつや)のスピンオフ作品だ。達也が少年院送りとなった後は地元の狛江を離れ、保護監察つきの生活を西千葉にて送ることとなる。暴れたら即、少年院に逆戻りというリーチのかかった状態だが、西千葉にも暴走族がゴロゴロと存在しており……。17歳になった達也の、波乱万丈な更生生活が幕を開けた。  かつての井口達也といえば金髪にリーゼントがトレードマークであった。しかし現在は少年院から出たばかり、おまけに保護監察つきのため髪は真っ黒。ヤンキー=リーゼントというイメージが強いが、『OUT』では不良達が現代風にアレンジされているため、古典的なスタイルをしている者はほぼいない。  また『ドロップ』ではボンタンに短ランという懐かしのスタイルが当たり前。登場人物たちは全員、“分かりやすいワル”という見た目をしている。また制服+マスクや、制服+インテリメガネなど、誰しもが想像するヤンキー像に当てはまる風貌が特徴である。  それに反して『OUT』は古典的なヤンキーファッションを纏う人物がいない。誰も高校に行っていないので制服姿が出てこない、というのもあるのだが……。リーゼントもおらず、ダボダボの所謂B系ファッションにも身を包まず、どこかスタイリッシュな印象だ。見ただけでは不良と分かりづらい者だっている。達也こそ元から持つアイドルフェイスに黒髪で、以前ほど近寄り難い印象はなくなっていた。  そしてヤンキーときたら欠かせないのがタバコ。未成年だろうが制服を着ていようが、片手にはいつもタバコがお約束のはずだが、『OUT』の登場する丹沢敦司(たんざわあつし)という人物は、まさかの非喫煙者! 「斬人(キリヒト)」という暴走族の総長を務めるカリスマなのだが、見た目も中性的で不良感はゼロ。今までの不良というイメージを壊してくれる、個性的なキャラクターだ。  時代が移り変わると共に、不良の見た目や雰囲気は徐々に変化していくようである。そしてやはりスマートフォンの普及は大きいようで、『OUT』内の抗争でもスマホを使った戦略を練るなど、電子機器の発展は喧嘩にも大きな影響を及ぼしているのだ。『ドロップ』の序盤では誰も携帯を持っておらず、ファミレスの公衆電話で仲間を呼び出していた。その光景はふと懐かしいものを感じ、「電話代がない」と揉める中学生たちが、どこか可愛く見えたものだ。 ■時代が進んでも変わらないこと  ただ、時代が進んでも、不良達のアツい友情や、暴走族に対する強い仲間意識は変わっていない。拳で語り合い、真っ直ぐぶつかっていく姿は多くの人の心を打つはずだ。いつだって彼らは不器用で、決して生き方がうまいとは言い難い。だが表の世界にはない「OUT」な世界だからこそ分かり合える“何か”が存在するのだろう。  コミカルな描写が多い『ドロップ』に比べ、細やかな心理描写やシリアスなシーンの多い『OUT』。題材だけで遠ざけてしまうかもしれないが、美麗なイラストにイケメンキャラも多数。男性だけでなく、女性も読める新しいタイプの不良漫画だ。  西千葉での達也の更生生活は、成功するのだろうか? かつて狂犬と呼ばれた、彼の成長も見どころである。

たかなし亜妖

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