小雪“九条”の演技に鳥肌が立った…『スカイキャッスル』第8話、見逃せないツッコミどころは?
小雪の演技力と圧倒的な存在感
第8話終盤で、九条がカメラに向かってニヤリとしたときの衝撃が忘れられない。一晩経っても、あの恐ろしい表情が頭のなかにこびりついている。 ちなみに、九条は台詞数が少ないため、表情だけでその裏にある思惑を感じさせなければならない...という難役だ。また、登場シーンがそこまで多くないにも関わらず、いつも物語の中心にいなければならない。小雪の演技力と存在感があったからこそ、『スカイキャッスル』は視聴者をこんなにもゾワっとさせることができたのだと思う。 瑠璃と九条のやり取りを見ていて、「もしも思春期に九条と出会っていたらどうなっていただろう...」と恐ろしくなった。思春期は、まわりの大人はなにも分かってくれないと思い込んでしまいがちな時期でもある。 瑠璃のように親に不満を抱くことがあっても、だいたいの大人は「そんなことを言うものじゃない」「親には感謝をするべきだ」と諭すもの。 しかし、九条は一緒になって親の悪口を言い、「わたしは、あなたの味方よ」と寄り添ってくれる。大人になると、「責任がないから、甘い言葉をかけられるだけ」と気づくことができるが、まだ幼い瑠璃や遥人(大西利空)が、“この人はふつうの大人とはちがう”と思うのも無理はないのかもしれない。
「この後に及んで…」ツッコミたくなるポイントは…?
冴島家の悲劇は、九条と出会ってしまったことで起きたものだ。まだ幼い遥人の心を支配して、自分以外の言葉を受け入れられないようにする。 九条の指導は、スカイキャッスルの住人たちの教育と似た部分があるのかもしれない。いい大学に行き、医者になることが人生の幸せだという親の価値観を押し付けるのも、ある種の洗脳だ。 しかし、大きく異なるのは、そこに愛があるかどうか。遥人の両親も、瑠璃の両親も、見栄やプライドのため...という気持ちがゼロではないにしろ、子どもたちに幸せになってほしいという願いが根底にある。九条にはそれがなく、生徒の未来をぐちゃぐちゃにすることしか考えていない。 九条というモンスターは、なぜ生まれてしまったのだろう。ただ、幸せそうな家族を壊すのを楽しんでいるだけなのか。それとも、なにか深い事情があるのだろうか。 そして、この期に及んでも泉(木村文乃)がまだ小説にこだわっているのも面白い。「遥人くんにも、許可をもらいました。九条先生の悪を晒して、罰を受けさせるべきだと!」と言ったとき、「許可したんかーい」と心のなかでツッコミを入れてしまった。罪を償わせたいのなら、小説化はあまりにも遠回りすぎないか? と思ってしまう。 次回いよいよ、最終回を迎える『スカイキャッスル』。これまではギスギスしていたスカイキャッスルの住人たちが、九条のおかげ(?)でひとつになってきた。未久を突き落とした犯人と、その動機。そして、なぜ九条はクラッシャーになってしまったのか。ようやく、すべての謎が明らかになるのが楽しみでならない。 【著者プロフィール:菜本かな】 メディア学科卒のライター。19歳の頃から109ブランドにてアパレル店員を経験。大学時代は学生記者としての活動を行っていた。エンタメとファッションが大好き。
菜本かな