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「同調圧力」に晒され、独立の危機にある裁判官

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nippon.com

危ぶまれる「裁判官の独立」

再び、憲法に戻ろう。日本の裁判官について指摘しておかなければならないのは、裁判所内部の圧力による「裁判官の独立」が侵害されかねないという問題である。「裁判官の独立」は「司法権の独立」の大前提であり、裁判官は司法外部の圧力からの自由だけではなく司法内部の統制からも自由でなければならない。しかし、わが国の裁判所機構は、最高裁判所を頂点とする一つの司法官僚組織となっており、最高裁長官と最高裁事務総局に司法行政上の権限が集中している。 本来は、裁判官会議が司法行政を司ることになっているが、実際には、裁判官会議は最高裁長官と最高裁事務総局の判断を追認する場となっている。憲法上、裁判官には強固な身分保障が認められており、転勤、昇進、給与、人事による支配を受けないはずであるが、現実には、転勤がルーティン化されているほか、人事によって昇進と給与に歴然とした格差が生ずるに至っている。新たな人事評価制度の導入など改善策が採られているものの、全体としての人事の透明度は依然として低い。 こうした強大な司法行政権の統制下にあって、個々の裁判官は司法官僚組織の一員として「同調圧力」に晒されているのである。日本の裁判官の「均一性」は、誇るべき特長などではなく、むしろ「裁判官の独立」が危機に瀕している証左なのかもしれない。

【Profile】

村岡 啓一 MURAOKA Keiichi 白鴎大学法学部教授。専門は刑事訴訟法、刑事実務。1950年生まれ。一橋大学大学院法学研究科博士後期課程修了(法学博士)。76年4月弁護士登録。一橋大学法学研究科教授を経て現職。主な著作に『日本の刑事司法:平成刑事訴訟法の下での現状評価』(CrimeInfo、2018年)など。

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