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リバプール南野は「使える控え」などではない 王者の“エンジン”後継者としての素養と環境

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REAL SPORTS

日本代表の南野拓実が所属するリバプールが、イングランド・プレミアリーグの今季王者となった。プレミアを制した日本人選手としては、稲本潤一(アーセナル/当時)、香川真司(マンチェスター・ユナイテッド/当時)、岡崎慎司(レスター/当時)以来、南野が4人目となる。一方で、今年1月に加入した南野はリーグ戦5試合に出場して無得点。リバプールが誇る3トップに割って入るような痕跡は残せておらず、本人も「(優勝の)実感は湧かない」と話している。とはいえまだ移籍して半年。彼のリバプール移籍を失敗とみなすのは時期尚早だろう。加入後の半年を振り返りながら、「クロップのリバプール」に獲得された理由を紐解いていこう。 (文=山中忍、写真=Getty Images)

不動と呼べるFW陣に追加された戦力

去る6月25日、今季プレミアリーグでは7試合を残してリバプールの優勝が決まった。第31節クリスタルパレス戦(4-0)で優勝決定まで勝ち点2ポイントに迫った翌日、2位のマンチェスター・シティがチェルシーに敗れて3ポイントを落としたことで、プレミア前史に当たる1990年以来のリーグ優勝という悲願達成を見た。 同時に、プレミア史上4人目となる日本人の優勝経験者も誕生した。今年1月にレッドブル・ザルツブルクから移籍した南野拓実は、リーグが定める「最低5試合出場」の条件をクリアし、物理的な優勝メダルを手にする資格も得ている。 ただし、実質的な資格に関しては疑問の声もある。プレミア出場5試合目となった、クリスタルパレス戦を含む4試合は途中出場で、優勝決定の4日前に第30節エヴァートン戦(0-0)で経験した、リーグ戦初先発もハーフタイム中に交代を告げられた。新FWとしての数字は、ゴールもアシストも「ゼロ」のまま。ザルツブルクでの今季前半戦には、9ゴール11アシストを記録した日本代表FW自身が、クラブを通じて「(優勝の)実感は湧かない。次はチームに貢献して優勝の喜びを味わいたい」と語るほど、鳴かず飛ばずの滑り出しとなっていた。 しかし、本人が「まだ半年しか経っていない」とも言っているように、リバプールの一員となったばかりであることも事実だ。新型コロナウイルス禍での約3カ月間のリーグ中断期を除けば、まだプレミアのシーズンは3カ月しか経験していない。にもかかわらず、エヴァートン戦後には「ヨッシ・ベナユンの廉価版」というファンによる南野評をネットで目にした。移籍金は、南野の725万ポンド(約9億6500万円)が500万ポンドのベナユンを上回るが、今日の移籍市場では「バーゲン価格」と言われる日本人FWを、13年前に移籍したイスラエル人MFと比較したコメントだ。南野を、在籍3年で「頼れる一駒」の域を出なかったウィンガー以下とみなすのは時期尚早にも程がある。 しかも、一般的に即座の活躍が難しいとされるシーズン途中に加入したばかりだ。移籍が成功した冬のプレミア新戦力には、同じリバプールにルイス・スアレス(現・バルセロナ)という前例があるが、3シーズン半で計69得点をリーグ戦で記録したウルグアイ代表ストライカーも、加入直後の2010-11シーズン後半戦は、出場13試合で4得点と比較的静かだった。南野は、リーグ戦出場時間もより限られているが、その背景には異なるチーム事情がある。新エースとして加入したスアレスとは違い、不動のレギュラーと呼べるFW陣に追加された戦力なのだ。

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