なぜ2冠王者の堀口恭司が朝倉海に68秒KO負けする衝撃の“ジャイキリ”が起きたのか?
堀口は再戦を要求した。 朝倉も、同じく再戦という言葉を口にした。 「勝ってもメリットのない対戦を受けてくれた堀口さんに一番感謝しなければならない。もう一回戦うのが筋だと思うので、次大晦日にベルトをかけて戦ってほしいです」 だが、「何も覚えていない」というダメージは実は深刻である。 榊原実行委員長は、会見を終えた堀口と会ったが、堀口は試合の内容どころか、つい今記者会見で話したことも覚えていなかったという。しかも、肉体的にリフレッシュしなければならないという現状がある。再戦でモチベーションは高くなるが、そこに肉体がついていくかどうかの不安もある。 榊原実行委員長も「まず休むことが必要。ドクターチェックして、体の部分でダメージが残っていないこと」を条件に「10月でも12月でも」と早ければ、10月12日に大阪で行われる「RIZIN.19」、遅くとも年末の12月29日、31日に予定している「RIZIN.20」「RIZIN.21」で堀口vs朝倉の再戦をRIZINバンタム級のベルトをかけて行う考えを示した。 堀口は、再戦でどう戦うかまでをとても口にできなかったが、朝倉は、リマッチへの秘策があるという。 「ほんの一部しか出していない。細かいところで作戦を立ててきた。引き出しをすべて出さずに温存できたのでよかった」 当初、判定勝利を念頭においていた朝倉は「ポイントを稼ぎながらいいのが当たればいく」という考えで、二の矢、三の矢を用意していたようだが、すべてを出さずして堀口をマットに沈めたのである。堀口陣営からすれば、なんとも不気味な発言でもある。 那須川天心、堀口の2人のリーダーの登場で人気が高まってきた日本の格闘界に朝倉兄弟という待望の新たなヒーロー候補が誕生し、さらに今後の展開が面白くなってきた。 榊原実行委員長は、こう表現した。 「朝倉と堀口。ここからの2人のドラマが始まっていく。RIZINの新章がスタートする」 真夏の名古屋で起きた“ジャイキリ”は、ここから繰り広げられる新たな“格闘絵巻”の序章に過ぎないのかもしれない。