「チャンスの方から追いかけてくる男」牧秀悟のベネズエラ戦“衝撃の満塁弾”は予言されていた…井端弘和監督は「絶対牧に回ってくる」「狙い通り」
チャンスの方から追いかけてくる男
牧自身も、「チャンスの方から追いかけてくる」という謎のポジティブ現象を自覚している。 「上位打線のメンバーで得点できますけど、さらにチャンスを作って自分にも回してくれている。何かどんな打順にいてもチャンスで回ってくるんで、なんとかしないといけないなと思って打席に向かっていますね」 これまでの国際大会でも、「侍ジャパン」にはここぞという場面で打席が回り劇的な一打を放つ数々のバッターがいた。WBC2009年大会のイチロー(当時マリナーズ)や、同23年大会の村上宗隆(ヤクルト)らは象徴的な存在だが、その多くは日の丸を背負う主力選手としての重圧と戦っていることを強く感じさせた。
大勢からかけられた言葉
だが、そんなプレッシャーとは縁遠い軽やかさを持つのが牧の魅力だ。今大会もファーストラウンドのキューバ戦から9打席連続でヒットは出ていなかったが、そこで下を向くような選手ではない。WBCの歓喜を知るメンバーでもあり、代表歴の浅い選手が多いチームを常に明るく盛り上げてきた。 劇的なグランドスラムが出る直前には、投球練習のためにブルペンへ向かうクローザーの大勢(巨人)に声をかけられていたという。 「(ベンチ裏で)『ナイスバッティング! 』って、まだ打ってないのに言われたんですけど(笑)。『こっから打つから! 』って言ってきました。本当に打てましたね」 1歳年下の守護神からの“予祝”の効果もあって、まさに有言実行の満塁弾となった。
世界の“ファニーガイ”!?
試合後の公式会見では、こんな一幕もあった。海外ネットワークメディアの日本人記者から「WBC以来、牧選手は海外でもファンが増えてきている。その面白い性格や、今日みたいな国際大会のホームランを見ていると、とても人気が出て、世界のスターになってきている」と海外のファンに向けたメッセージをお願いされたのだ。 質問は直後に英語で通訳され、「ファニーガイ」、「グローバルスター」という単語が飛び交い、牧は鼻の穴を膨らませてニヤリ。同席した井端監督も思わず笑みがこぼれ、隣に座る“ファニーガイ”に意味ありげな目線を送った。 会見場の記者たちもつい何かを期待して見つめるなか、その口から飛び出したのは……。
殊勝なコメントで締めくくった一夜
「こういう世界大会でいろんな国の、野球をやっていない人とかそういう人たちに名前を知られているのは嬉しいこと。面白いかどうかはアレなんですけど……代表ユニフォームを着て自分らしさを見せられるのが一番だと思う。これから先もまだまだ国際大会はあるので、出場できる限りは出場したいですし、色々な世界の方々と関わりを持てるように頑張っていきたいです」 “ファニー”なリアクションこそなかったが、“グローバルスター”らしい殊勝なコメントで劇的な一夜を締めくくった。
(「侍ジャパンPRESS」佐藤春佳 = 文)
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