感染から3カ月経過後も腸内にコロナウイルスの痕跡…「コロナ後遺症」の手がかりになるかもしれない
COVID-19から回復して3カ月が経過した少女の腸内から、コロナウイルスの痕跡が発見された。 【全画像をみる】感染から3カ月経過後も腸内にコロナウイルスの痕跡…「コロナ後遺症」の手がかりになるかもしれない この11歳の少女は、コロナウイルスに感染して以来ずっと、腹痛を抱えていた。 この症例は「コロナ後遺症」の原因を探る手がかりになるかもしれないと、研究論文の著者は述べている。 COVID-19から回復して3カ月が経過した11歳の少女の腸内から、コロナウイルスの痕跡が発見された。 この少女はCOVID-19の「急性」症状が出て以来、激しい腹痛を抱えていた。今回の発見は、感染症が治った後も、長い間症状が続く「コロナ後遺症(long COVID)」の原因を探る手がかりになる可能性がある。 これに関する研究論文が、査読付き学術誌「JPGN Reports」2月号に発表された。 ニューヨーク、ブルックリンにあるSUNYダウンステート小児病院で治療を受けていた少女は、「けいれんするような、あるいは焼けるような」痛みがあり、排泄や食事をすると症状が改善していた。 その痛みは10段階で5から7という激痛だったと論文には記されている。 少女がいつ感染したのか、ワクチンを接種していたのか、どの変異株に感染したのかは明らかにされていない。 あらゆる治療が試みられたが、少女の痛みを和らげることはできなかった。さらに調べると、少女の盲腸に強い炎症があることが分かった。 組織を生体検査にかけると、驚くべきものが発見された。少女の腸の細胞が、コロナウイルスの痕跡で満たされていたのだ。 以下の画像は生体検査の結果を示しており、腸の細胞が紫色で、コロナウイルスの痕跡を示す細胞が茶色で表示されている。 これは、人間の体がコロナウイルス、あるいは少なくともその断片を感染から何カ月にもわたって体内に保持できることを意味している可能性がある。 これは1つの症例に過ぎず、この状況が例外なのか、もっと広く起こっているのかは分からない。そしてこの研究で使われた技術では、ウイルスが生きているのか死んでいるのかも分からない。 しかしこの研究の著者たちは、このことが、COVID-19の一般的な症状が治まってから数カ月経過してもウイルスがまだ腸に住み着いていることを「強く示唆」しているという。 もう一つの説は、例えばイェール大学の免疫生物学者である岩崎明子が唱えているもので、ウイルスはもっと早い時期に除去されたが、その断片が長い間体内に残留しているというものだ。 免疫システムが、このコロナウイルスの「亡霊」を生きているウイルスと勘違いし、それを除去しようと強い免疫反応を起こし続け、局所的な炎症や痛みを引き起こしている可能性はある。 岩崎は2021年に、ワクチン接種がウイルスの残骸を体内から除去するのに役立つかもしれないという仮説を、一連のツイートで説明している。 [原文:An 11-year-old with abdominal pain 3 months after getting COVID-19 still had the coronavirus in her gut] (翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)
Marianne Guenot