新電力ナンワエナジー、 法人への電力供給 4月末で停止 調達価格が上昇 家庭・小規模店舗向けは継続 / 九電へ切り替え困難か
新電力のナンワエナジー(鹿児島市)が4月30日でビルや病院、工場など法人向け電力供給サービスを一部停止することが11日、分かった。燃料価格の急騰で電力の調達価格が上昇し、契約条件での供給が困難になったとしている。対象は高圧、特別高圧と呼ばれる分野。家庭や小規模店舗向けの低圧分野は続ける。 同社によると、原油や天然ガスが高騰した昨年秋ごろから調達価格が上昇。ロシアがウクライナに侵攻した2月以降さらに上がった。上昇分を値上げすると、セーフティーネットとして設定されている割高な最終保障供給料金を上回る見込みになり、同社と契約するメリットがなくなるという。 契約者には九州電力か別の小売電気事業者に切り替えるよう求めている。事業停止までに切り替えが間に合わない場合もすぐに供給は止まらず、九州で送配電事業を営む九電送配電の最終保障供給を申し込める。 ナンワエナジーは2013年に電力小売り事業に参入。離島を除く九州全域で事業展開している。同社ホームページによると、2021年4月時点で特別高圧、高圧、低圧合わせて累計2万件超の契約がある。内訳は非公表。
新電力をめぐっては全国的にウクライナ侵攻を機に経営環境が急速に悪化しており、各地で新規の契約停止や事業撤退が相次いでいる。 ■九電、一部の法人向け新規受け付け一時停止 九州電力が、3月から一部の法人向け電力プランの新規受け付けを一時停止していることが11日、分かった。同社は「追加の供給力の確保が担保できないため」と説明。ナンワエナジー(鹿児島市)など、調達コスト上昇でサービスを停止する新電力の契約者の受け皿となるのは難しい状況とみられる。 九電が停止しているのはビルや工場などが対象の高圧、特別高圧の契約で、再開時期は未定。燃料や電力調達価格の高騰などが背景にあるとしている。 ウクライナ情勢の緊迫化による燃料高で、卸電力市場の取引価格が高騰。全国的に自前の発電設備などを持たない新電力会社の倒産や事業停止が相次いでいる。