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「非合理さえも伝統。『京都の遺伝子』を守り続けたい」祇園祭を支える職人たちの言葉、疫病退散の「祈り」つなぐ夏に

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京都新聞

夏の京都を彩る祇園祭。今年は新型コロナウイルスの影響で、神輿渡御は74年ぶり、山鉾巡行は58年ぶりに中止となりました。平安時代、各地で流行した疫病を鎮めるための御霊会を起源とする祇園祭は、千百年を超えて、京都の人々が守り伝えてきました。その歴史は、裏方として支える人々の情熱の蓄積でもあります。祇園祭を、次へとつないでいくために。今、伝統を受け継ぐ職人たちの言葉が紡ぐ、祇園祭の夏が始まります。

■「非合理さえも伝統です。『京都の遺伝子』を守り続けたい」

山鉾巡行を支える、経験したからこその気配り。 長刀鉾保存会 稚児係 井尻浩行さん ◇ 祇園祭の山鉾で今も唯一、生稚児(いきちご)を乗せる長刀鉾。前祭巡行では「注連縄(しめなわ)切り」の役目を担い、23基の山鉾を先導する。自身も稚児を経験した井尻浩行さん(51)は、約20年にわたり世話役の「稚児係」を務める。「稚児に寄り添い、常に安心できるよう気を配ります。大人のペースで進めては上手く行きません」と話す。

幼少から祇園祭に親しんできた井尻さん。小学3年で長刀鉾囃子(はやし)方に加わると、「久しぶりの小さい子」と周囲の大人たちに可愛がられ、翌年は稚児に大抜擢。「冠の紐が顔に擦れて痛かったことや、体を締め付ける帯の感触を、今も覚えています」と懐かしむ。 結納、お千度、社参の儀―。八坂神社の神の使いである稚児は、祭の期間を通し多くの行事が待っている。稚児を務める子どもにとっては、全てが初めて。何のためにやるのか、分からず戸惑うこともある。それでも、ともに行事を経験するうち「段々と度胸がついてくる。表情や所作が変わってきます」という。

そして7月17日、いよいよ山鉾巡行の朝を迎える。見物客の喧騒が届く会所の2階を、先に鉾へと向かう囃子方らが次々と出て行く。慌ただしい雰囲気だった会所に、ひととき静寂が広がる。井尻さんと稚児、2人だけで過ごす特別な時間だ。「今か今かと待たれている緊張感で、胸の中はざわざわしています。それでも、稚児を不安にさせたらあかん。時間にして大体3分間ほど、何でもないような話をして過ごします。いつもと同じ調子で『行こかぁ』と一声かけて、それから一緒に階段を降りて行きます」。

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