「投資家が逃げたら韓国は終わり」韓国人たちが語る一晩限りの戒厳令の恐怖、尹大統領が“謎行動”に走った事情
「尹錫悦は退陣しろ」というシュプレヒコールを上げながら大統領府へ向かうデモ行進の中にはケンガリ(韓国の伝統打楽器の1つ)や、チャング(鼓の一種)を叩きながら、踊っている人々もいた。 【写真】尹大統領を追い詰める、韓国最大野党「共に民主党」の李在明代表 尹錫悦大統領が宣布した「非常戒厳令」が解除された明くる12月4日夜に行われたデモは一転して、さながらお祭りのような雰囲気だった。ソウル市内中心部の光化門で夕方6時から始まったデモにはおよそ2000人が集まっていた(警察推算)。
■「民主主義が守られてよかった」 「民主主義が守られてほんとによかった。民主主義を脅かした尹大統領は退陣するべきです」 デモに参加していた50代の女性は、「非常戒厳令」が宣布された夜には国会前にも駆けつけたという。デモ行進を眺めていた30代の女性は、「何あれ? っていう感じです。2024年のこの時代に、ワケがわからない。それなりに先進国だと思っていたのに、恥ずかしい」と話し、近くでやはりデモ行進を見ていた60代の男性は、「今でも信じられない」とため息をついた。
「私たちは大学に警察が配置されていた世代です。とても怖かった。民主主義を勝ちとった原体験があって、それを誇りにも思ってきました。体に民主主義が身についていると信じてきました。それを同じ世代の大統領がぶち壊した。私は保守派に近い人間ですが、いったいどうしてあんなことをしたのか、どんな理由があってもどうしても理解できない」 今回の事態は、1979年に朴正熙大統領が暗殺された際、「非常戒厳令」が宣布されてから45年ぶりのことだった。
尹大統領によって3日夜11時に突然宣布された「非常戒厳令」は、2時間後の午前1時1分には国会で解除要求決議案が可決され、大統領も受け入れたことで、6時間あまりで解除された。国会議員の過半数の賛成により解除しなければならないという憲法にのっとったもので、あっという間の出来事だった。 日本の化粧品を輸入し韓国で販売する事業をしている知人は、非常戒厳令の宣布後すぐに「海外で韓国物の株価がとんでもなく下落している。いったいどうしてくれるんだ」と嘆いていた。