オバマ政権の行方は? どうなる米中間選挙 /上智大学教授・前嶋和弘
中間選挙の結果はどう影響?
もし、中間選挙で共和党が上院で多数派を奪った場合、どのような影響があるでしょうか。あるいは、民主党が何とか踏ん張って上院で多数派を維持できた場合、どんなことになるでしょうか。 今回の選挙の場合、いずれの場合でも、おそらく2010年選挙から続いている膠着状態がさらに継続する状況が考えられます。というのも、議会の上下両院の多数派が共和党となっても、まだ大統領は民主党です。アメリカの立法過程では上下両院で法案が通過してもオバマ大統領が署名しなければ立法化できません。 共和党側は「動かないのはオバマ大統領のせい」という批判の語気を強める気がしますが、オバマ政権や民主党は「共和党側のゴリ押し」を主張するでしょう。「オバマ政権」対「上下両院の多数派共和党」の対立は激化していくと思われますが、何も変わらない中、国民の不満がおそらく高まっていくのではないかと想像されます。 日本としてはTPPの議会での審議の動向なども気になりますが、これについては委員会構成など様々な要因が関係してくるので現時点での予測が難しい形です。しかし、個々の政策についても「オバマ政権」対「上下両院の多数派共和党」の対立は激化する中で、話し合いがなかなか進まないのが、オバマ政権最後の2年間の基本的な構図になると思われます。 もし、今回の中間選挙の最大の影響が政治不信のさらなる高まりとなるとしたら、大変残念なことかもしれません。