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UNHCRの親善大使で詩人、エミティタル・マフムードの「言葉」による平和の追求

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ハーパーズ バザー・オンライン

誰かの気づきや努力によって、世の中が新しい方向へシフトすることがある。時代が変化する、その先駆けとなるような女性たちの意志は日常を生きる私たちにも確かに届き、世界を見るための新しい視点をくれるのだ。今回は、詩人でアクティビスト、エミティタル・マフムードの「言葉」による改革をご紹介しよう。 【写真】世界を変えた75名のすばらしい女性たち

UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の親善大使であるエミティタル・マフムード(EMTITHAL MAHMOUD)が目の前で突然パフォーマンスを始めた。故郷スーダンにて、平和への意識を高めるため1カ月にわたり歩き続けた彼女自身の体験を描いた詩「スクールハウス」を本誌のために書いてくれたのだが、躍るような声でその詩を朗読したのだ。 2015年にワシントンで開催されたインディヴィデュアル・ワールド・ポエトリー・スラムで優勝したマフムードは「たとえ笑っていても涙なくして詩を書いたことはない」と話す。優勝した彼女はそこから世界中の難民を支える力強い活動家となった。「起きたことを表に出すために詩を書くの。書く行為を通して追体験をし、苦しんでいる。でもパフォーマンスをする時は自分の手を人へ可能な限り伸ばすの。私には相手に届ける目的があるから」 沈黙はマフムードの作品の中で繰り返し現れる。それは彼女が育った国が「国民を黙らせるために殺す」ことさえする場所だったからだ。1993年にスーダンの首都ハルツームで生まれた彼女は5歳でアメリカに連れてこられた。10歳の頃、母親になぜ故郷ではこれほどまでに埋葬が多いのかと尋ねた。そしてその時初めて大量虐殺という言葉の意味を知った。すぐに彼女は最初の長編詩を書いたという。「私にできることは言葉で表現することだけだと思ったことを今でも覚えています。詩は言葉の壁を崩す。言葉は私たちを狭い世界に閉じ込めてしまう危険性があるけれども、詩はそれを超越するの」

分子生物学と文化人類学を専攻しイェール大学を卒業してからはスーダンに頻繁に帰っている。その目的はスーダンでの暴力行為が続いていることに対する意識啓発、ボランティア活動に加え、安全な場所を地元の人々に提供する「ポエトリー・タウンホール」などのプログラムを設立するためだ。22歳の時にアメリカ芸術科学アカデミーから核倫理会議での講演を依頼された。そこで彼女は国連の潘基文事務総長やダライ・ラマ14世とプラットフォームを共有するまでになった。2016年には当時のオバマ大統領にボルティモアにあるイスラミック・ソサエティでの討論会に招待された。「あのミーティングが、アメリカ人になり切っていない、おまえらの居場所ではない、おまえたちは人間ではない、というイスラム教徒への抑圧に対する答えになりました」と話す。 彼女は詩編の録音を始めている。同時に体験記の執筆、スーダンのコミュニティで平和を提唱する活動を進めている最中だ。また、医学を学ぶために受験の準備もしているそう。26歳の彼女は今、どこにいても最も若いメンバーのひとりだ。そして唯一の有色人種である場合も多い。でも彼女はそれを気にせず声を上げる。「その場所に招待されたのならば、その場所にいる権利があると証明されているはずでしょう?」と彼女は諭す。「私が貢献しなければ他の誰がやるっていうの?」

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