押井守の35年ぶりアニメシリーズ『ぶらどらぶ』という劇薬「じじいを怒らせたらどうなるか、思い知らせてやる」
「じじいを怒らせたらどうなるか、思い知らせてやる」 思わぬ制作陣の裏テーマが明かされた、押井守監督40年ぶりのシリーズアニメ作品『ぶらどらぶ』の配信がいよいよ2021年2月14日(日)からスタートする。 【画像】過剰なまでのバイオレンスコメディ 押井守監督といえば『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』や『機動警察パトレイバー 2 the Movie』といった重厚でシリアスな作品のイメージが強いが、今回の『ぶらどらぶ』で挑むのは女子高生たちを主役としたドタバタコメディ。 意外な選択にも思えるが、元々は今作でもタッグを組む西村純二監督と共にアニメ『うる星やつら』を手がけているなど、賑やかなコメディにも定評がある押井守さん。二度とやらないと思っていたというほどに離れていたシリーズアニメというフィールドで、ふたたびその才覚を発揮する。 配信に先駆け、2020年12月28日に4話までの先行試写会を実施。 今回はその第一部で行われた押井守総監督、西村純二監督、キャラクターデザインを務めた新垣一成さん、プロデューサーの宮腰徹さんによるトークセッションの模様を含めてレポートする。
押井守のドタバタコメディ
「どんな風に楽しんでもらえるか、私たちも想像がつかない」 試写の前に流れた主人公「絆播 貢」役の佐倉綾音さんのコメント通り、既存の価値観では捉えきることのできない奇想天外な作品というのが4話までを見た時点での感想だ。 献血マニアという特殊な趣味を持つ女子高生「絆播 貢」は、ひょんなことから吸血鬼の「マイ・ヴラド・トランシルヴァニア」と出会う。彼女に血を与えるべく貢やその周囲に現れる個性的な面々によるドタバタ騒動が幕を開けるというのが大まかなあらすじだ。 吸血鬼というファンタジーなモチーフを配しながらも、本編はノンストップで駆け抜けるハイテンションなコメディ。 制作陣も認めるように“時代性を無視した”かのような、令和のこの世ではお目にかかるのが珍しいズッコケや極端なデフォルメ、ツッコミで大けがを負うも次のカットには全快といった古き良きギャグ演出が散りばめられているのも印象的。 ガール・ミーツ・ガールというトレンドなテーマに沿いつつ、過剰なまでのギャグもエロもバイオレンスも詰め込まれた押井守総監督の独特のユーモアが惜しげもなく詰め込まれた作品で、その熱量の高さに驚かされつつも、肩ひじ張らずに楽しめるとにかく面白いアニメだ。