【藤ヶ谷太輔さんインタビュー】この作品だけは「どうしても」と初めて自ら動きました
【Culture Navi】カルチャーナビ : 今月の人・今月の情報 「この作品だけは「どうしても」と初めて自ら動きました」──藤ヶ谷太輔さん(Kis-My-Ft2)
直木賞作家・辻村深月さんによる100万部を突破した同名原作『傲慢と善良』を読んだとき、藤ヶ谷太輔さんは「もしかして僕のことを知っているのかな?と思えるぐらい、これは僕自身の物語だと思った」そう。“人生で一番好きな小説”に挙げるほど感銘を受けた藤ヶ谷さんは、「この作品に関しては、自分が演じられなければ絶対に後悔する」と、初めて自ら映画化に向けて各所に動いたといいます。そうして見事、主人公の架(かける)を演じることに! 都会的で楽しげ、公私ともに絶好調で人気者の架ですが、それだけに少々傲慢な面も。結婚をためらったことでフラれた恋人に未練を残しつつ、マッチングアプリで知り合った真実と付き合い始めますが、またも将来を決めかねます。「そのあたりが僕と同じわけではないですよ!」と笑いを誘いつつ、自分に刺さったことや惹かれた理由を語ってくれました。 「僕が思っていたことを辻村さんがギュッと凝縮し、言葉にしてくれた感覚を覚えました。例えば架が真実と付き合い始めたとき、女友達から“あの子はやめておきなよ”と言われますが、釣り合いがとれているかどうかを周りが勝手にジャッジすることって本当によくあるな、とか。真実についての“自己評価は低いけれど自己愛は強い”という表現や、作中に出てくる“結婚できるのは自分が欲しいものをわかっている人、ビジョンを持っている人”という言葉にも、なるほどとうなりました」 付き合い始めて1年後、ストーカーに悩まされていた真実は、忽然と架の前から姿を消してしまいます。真実の行方を捜し始める架は、初めて“真実という人間”に真正面から向き合うことになるのですが……。 「そのミステリー要素から始まり、恋愛や友人関係、さらに価値観を押しつける親も登場し、都会と地方の違いなど、いろんなものが混じり合い、そのすべてが過不足なく語られるスゴイ物語なんですよ。原作を大切にしたい人が集まった現場は、ディスカッションが白熱しました。どうすれば最もいい形で映像表現が叶うか、観客に伝わるか、と」 真実を捜す道中でかかわった人の話に耳を傾けながら、架もいろんなことに気づかされ変化していきます。 「前半と後半で見せ方を大きく変えることはしていません。ただ真実がいる佐賀へと訪ねていく場面の撮影で、僕は遅れて現場に入ったのですが、そのときのアウェイ感がすごかった! (設定上から)農作業着姿の奈緒ちゃんたちのところへ、キレイな格好で東京から行った自分がすごく浮いていて、リアルにそのギャップに戸惑って。それがうまく生かせたかな、と。そのとき、真実が都会で疎外感を覚えながら頑張っていた感覚が、初めてわかった気がしました」 真実の過去や秘密とは? そして2人がどういう結論を下すのか。映画オリジナルの展開も含まれるラストシーンまでドキドキが止まりません。最後に、現在の理想とする仕事への向き合い方について聞きました。 「常に“攻め”でいく姿勢は、30歳までと決めていました。それをやり尽くしたので、今は自分の時間を大切にしたいフェーズに入っています。やっぱり心の余裕が、遊び心につながっていい仕事ができると思うので。自分の心にどれくらい余裕があるかを見ながら、余白の部分や遊び心を大事にできるよう心がけています」