第94回選抜高校野球 高知、4年ぶり春切符 春夏通算3度目V目指す /高知
<センバツ2022> 第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)の選考委員会が28日開かれ、高知(永野隆史校長)の出場が決まった。選出は4年ぶり19回目。2021年秋の四国地区大会優勝などが評価された。複数投手の継投策を中心とした粘り強い守りと、破壊力のある打線で春夏通算3度目の優勝を目指す。組み合わせ抽選会は3月4日にオンラインで行われる。大会は阪神甲子園球場で3月18日に開幕する。【センバツ取材班】 午後3時40分ごろ、センバツ出場を伝える吉報が高知に届いた。緊張した面持ちで電話を受けた永野校長は「誠にありがとうございます。謹んでお受けいたしたいと思います」と応え、笑顔を見せた。 その後、永野校長は学校から少し離れたグラウンドへと車で移動。練習の準備をしていた選手たちにセンバツ出場の決定を伝え、「十分にパフォーマンスを発揮できるよう練習に手を抜かず、チームワークを持って、鍛え上げた姿を甲子園で発揮してください」と激励した。選手たちは真剣な表情で永野校長の話を聞いていた。 キャプテンを務める谷崎陽選手(2年)は「先輩たちが行くことのできなかった甲子園に、自分たちが行けると思うとものすごくわくわくしてきた」と喜びを実感した様子。「センバツを戦うためにトレーニングを重ねている。目標である『まずは一勝』をかなえるため、これからも練習していきたい」と決意を新たにした。中軸を担う高橋友投手(2年)は「うれしい気持ちもあるが、これから甲子園に向けもっと準備していかなくてはならない」と気を引き締めていた。 4年ぶりとなる甲子園の舞台。浜口佳久監督は「監督就任してから初めての甲子園。戸惑いや不安もたくさんあるが、一つ一つ練習の中で詰めていき、子供たちと一緒にクリアしていきたい」と話した。選手たちには「新チームで自分たちが作り上げてきたことを、しっかりと甲子園の場で出してくれればと思う」と活躍を期待した。 ◇特別号外に笑顔 高知市の高知高校野球部グラウンドなどで28日、同校のセンバツ出場を伝える毎日新聞の特別号外が配られた。 号外を受け取った西野啓也選手(2年)は、自身の写っている写真を眺めながら「ちょっと恥ずかしいです」と笑顔を見せ、「一戦一戦、自分たちの野球をしたいです」と話した。同部の勝賀瀬拓志副部長は「みんないい顔をしています」と話し、「号外を見て改めてほっとしました」と安心した表情を見せていた。 ◇爆発打線で勝負強さ発揮 21年秋の四国地区大会県予選では、決勝で明徳義塾に延長戦の末0―1で惜敗したが、四国大会では並み居る強豪を倒して9年ぶりの優勝を果たした。各地区の優勝校が参加した明治神宮大会は、初戦で花巻東(岩手)に2―6で敗れた。 投手陣に絶対的エースはいないが、継投で相手打線を翻弄(ほんろう)してきた。エースナンバーを背負うのは直球がさえる高橋友投手(2年)だ。内野手も担う山下圭太投手(2年)はキレのあるスライダーが身上。県予選で最速144キロを計測した川竹巧真投手(2年)らも控え、要所を抑える。 各投手の特性を西野啓也捕手(2年)が引き出し、バッテリーを中心とした守りには安定感がある。守備からリズムを作り、攻撃につなげたいところだ。 チーム打率は3割4厘だが、打線には爆発力があり、勝負強さを発揮する。要は打者としても中軸を務める高橋投手で、打率3割8分7厘はチームでもトップレベル。西野捕手も四国大会決勝・鳴門(徳島)戦で初回に逆転3ランを放つなど攻守に活躍したほか、好機に強いスラッガーの松本桂弥選手(2年)ら打線に切れ目がない。 目指すは春夏通算3度目の優勝。選手たちの士気は高い。 ……………………………………………………………………………………………………… ◆学校プロフィル ◇OBに中日・木下捕手 1899年、江陽学舎として創立。1948年に新制の城東高となり、56年に高知高と改称された。運動部の生徒が通うスポーツ進学▽2年から文系・理系に分かれる文理▽国公立大学や私立難関大学などを目指す特進――の3コースで約560人が学んでいる。 運営する学校法人高知学園は幼稚園、小中高校、短大、大学、専門学校などを設置。建学の精神は「信頼される人物の育成」で、社会に貢献する人材の育成を目指している。 野球部は26年創部で、甲子園にはこれまで春18回、夏13回出場。64年夏と75年春に優勝を果たした。OBはプロ野球・中日の木下拓哉捕手や楽天の和田恋外野手など。高知市北端町100(088・840・1111)。