【独自解説】今後も議論されるであろう“主婦・主夫年金” 廃止なら家計から年間約28万円負担増の試算も…専門家指摘「出生率と大きく関係。働いても子育てできるような支援策をセットに」年収の壁はどうなる?
経済評論家・加谷珪一氏は、「制度ができた当時は合理的な考え方だったが、今は共働きや単身者も多くなり、制度の整合性が取れなくなってきている」との見解を示しています。
■「家計が苦しくなる」「2人目・3人目を考えている」第3号廃止論に不安の声
“主婦・主夫年金”の廃止を求める声があることに、現在、対象に当たる人からは―。 (第3号被保険者・専業主婦30代) 「家計は、やはり苦しくなります。専業主婦なので、働きに出るしかないのかなと。そうすると、子どもといる時間が減ってしまうので、私は廃止すべきではないと思います」
一方、「共働きで現在は育休中」という人からも、“主婦・主夫年金”廃止論に不安の声が…。 (第2号被保険者・共働き20代) 「子どもが1人目で、2人目・3人目と考えているので、仕事に完全復帰はできないと思います。今は働いているからいいけど、働かなくなった後に余裕がなくなるのは怖い」
Q.街の人からは不安の声も聞かれていますが、制度の整合性が取れなくなってきている側面があるんですか? (加谷氏) 「そういう側面はあると思います。第3号は簡単に言うと、『専業主婦・主夫は保険料を払わなくても年金が受け取れる』というシステムです。昭和の時代は女性の就労機会もあまりなく、夫が長時間労働をして家計も経済も支え、妻は家でそれをサポートするから、事実上働いていると見なして年金を給付しましょうということでした。ところが、最近は共働きも増えてきて、働き方も多様化しているので、このスタイルが現実と合わなくなりつつあるのは事実です。ただ一方で、この制度で人生設計をしてきた人も沢山いるので、急に取り上げるのは問題があります。また、子どもが増えた場合にはこの制度が良いと思う人もいるので、子育て支援とセットにした上で、将来の方向性を考える必要があるのではないかと思います」
■“主婦・主夫年金”廃止で年間28万5860円の負担増…専門家は「壁の議論とセットで進める必要がある」と指摘
①『国民年金』に加入して第1号被保険者になる ②『厚生年金』に加入して第2号被保険者になる(企業負担増) 第3号被保険者は“主婦・主夫年金”がなくなると、上記のどちらかを選ぶ必要があります。
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