日本ラグビー4年後への強化 縮まる強豪国との差 世界で戦える選手増やせ
「パスが増える」世界のラグビーの潮流
4年後のワールドカップに向けて、どのようなことが日本チームには必要だと薫田さんは考えているのでしょうか。 「どの国の試合も、パスの回数が増えています。モール、ラックを展開しようとする意図がありますが、それに伴いハンドリングスキルも高まっています。日本は今回、ボール支配率を上げ、展開するラグビーを行いましたが、さらに上に行くためには、ハンドリング、パス、キック力のスキルを上げる必要があると思います。パスが増え、セットピースは減っていますが、勝敗を左右する大事なスクラムは昔と変わらないので、強化が必要です」
世界最高峰リーグで個のスキル高める
個人のスキルを上げるためには、世界最高峰のラグビーリーグ「スーパーラグビー」への参戦が必要だと薫田さんは話します。今大会躍進の立役者、五郎丸歩選手(ヤマハ発動機)が、「スーパーラグビー」のクイーンズランドレッズ(オーストラリア)へ加入することが決まりました。スーパーラグビーは2月からシーズンが始まるため、1月で終了するトップリーグとの両立が可能です。すでに日本代表主将を務めたリーチ・マイケル選手(東芝)や田中史朗選手(パナソニック)がスーパーラグビーでプレーしています。 「今大会はベスト8を目指し戦えるメンバーがいました。しかし4年後を考えたときに、世界で戦える選手が少ないです。スーパーラグビーは世界のトップ選手と対戦できる場所です。トップリーグもゲームの質が低ければ意味がありません。トップリーグをスーパーラグビーにどう近づけていくか。全体のレベルを上げる必要があります。2016年シーズンから、日本のチームもスーパーラグビーに参戦します。日本代表の強化につながるようなチーム編成、2019年に向けた強化をしていくと思います」 現在、ワールドカップを戦った選手たちはメディアに引っ張りだこです。この過熱ぶりに薫田さんは「本当にありがたいことです。しかし、彼らはアスリート。選別をしっかりしなければいけませんね」と表情を引き締めました。2019年に日本で行われるワールドカップで今大会以上の成績を目指すため、さらに、このラグビーブームを一過性のもので終わらせないために、ラグビー界が次なる課題にどう取り組んでいくのか、注目されます。 (ライター・篠崎有理枝)
《取材協力》薫田真広(くんだ・まさひろ) 東芝ブレイブルーパス総監督。1966年9月29日生まれ。岐阜県出身。筑波大学を経て東芝(1988~2000)。日本代表キャップ44(1991、1995、1999年W杯出場)東芝ブレイブルーパス監督、U20日本代表監督、日本代表アシスタントコーチを歴任。現在は東芝ブレイブルーパス総監督並びにラグビーワールドカップ2019日本代表戦略室長