東京都予算(上)「ダイバーシティ」待機児童解消や高齢者施設整備に注力
●超高齢社会対策
都の総人口における65歳以上の割合は、2015年の22.7%(307万人)から2040年には27.7%(375万人)へと増加し、高齢化が一層進むとみられています。小池知事は高齢化対策を「喫緊の課題」として重視しています。 特に、特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健(老健)施設、認知症高齢者グループホームといった高齢者の住まいを整備する施策に460億円を盛り込み、2025年度までに特養は6万2000人分(2016年度実績は4万5916人分)、老健施設は3万人分(同2万1125人分)、グループホームは2万人分(同1万260人分)の整備を目標としています。また、過酷な職場で離職率の高い介護人材の育成と定着に向けた支援事業に38億円を充てました。 「誰もが活躍できる社会の実現」として、「高齢者の社会参加の促進」(27億円)もうたいます。新規事業としては、高齢者の就業を後押しする「シニア就業応援プロジェクト」(5億円)、高齢者の生涯学習や交流の場となる「『100歳大学』の実現」(2億円)に取り組みます。
●受動喫煙防止
受動喫煙防止対策の推進には26億円を計上。このうち16億円は、都が6月議会での制定を目指す「受動喫煙防止条例」の普及啓発や体制整備、区市町村の取り組み支援に充てる予定です。 この条例案は、従業員を雇っている飲食店では、面積や経営規模を問わず「原則屋内禁煙」とするもので、政府が国会に提出している「健康増進法改正案」より厳しい内容になっています。都は国会の動きをにらみつつ条例を制定したい考えですが、財務省の決裁文書改ざん問題などの影響で政府法案の審議は進んでいません。 「ダイバーシティ」をめぐる異色の新規事業としては、このほかLINEを使った自殺相談(8000万円)、子ども食堂を運営する事業者や区市町村への補助(1000万円)、介護人材の確保策として介護職員が借りた奨学金の返済相当額を手当として支給する支援事業(1億円)などがあります。 (取材・文:具志堅浩二)