宇垣美里「好きなことを仕事にするって、本当に幸せなんだろうか」/映画『ハケンアニメ!』
元TBSアナウンサーの宇垣美里さん。大のアニメ好きで知られていますが、映画愛が深い一面も。 そんな宇垣さんが映画『ハケンアニメ!』についての思いを綴ります。 ●作品あらすじ:連続アニメ『サウンドバック 奏の石』で夢の監督デビューが決定した斎藤瞳。だが、気合いが空回りして制作現場には早くも暗雲が…。瞳を大抜擢してくれたはずのプロデューサー・行城理は、ビジネス最優先で瞳にとって最大のストレスメーカー。「なんで分かってくれないの!」だけど日本中に最高のアニメを届けたい! そんなワケで目下大奮闘中。 最大のライバルは『運命戦線リデルライト』。瞳も憧れる天才・王子千晴監督の復帰作だ。王子復活に懸けるのはその才能に惚れ抜いたプロデューサーの有科香屋子…しかし、彼女も王子の超ワガママ、気まぐれに振り回され「お前、ほんっとーに、ふざけんな!」と、大大悪戦苦闘中だった。 瞳は一筋縄じゃいかないスタッフや声優たちも巻き込んで、熱い“想い”をぶつけ合いながら “ハケン=覇権”を争う戦いを繰り広げる!! その勝負の行方は!? アニメの仕事人たちを待つのは栄冠か? 果たして、瞳の想いは人々の胸に刺さるのか?(以下、宇垣美里さんの寄稿です。)
好きなことを仕事にするって、本当に幸せなんだろうか
好きなことを仕事にするって、本当に幸せなんだろうか、と思うことがある。幸運なことに、好きを仕事にしてはや8年。ずっとやりたかった文筆業も5年ほど続けられていて、たとえ過去に戻れたとしてもこの道以外を選ぶつもりはないけれど、さりとて楽しい思いばかりしてこられたわけじゃない。 明日も早いのにどうしても納得できないからと泣きながらキーボード叩いて書き直し、出来上がった映像を見て表現しきれない自分のふがいなさに絶望して、評価が怖くてSNSなんか封印した。 だから、好きを貫くためにストレスフルな環境の中、身を削り魂を捧げるようにして働く面々の眼差しに、この作品は正真正銘のお仕事映画なのだと、胸がいっぱいになった。