藤枝明誠が試合をひっくり返し3-2で熱戦を制す!新田は無念の2点リードからの逆転負け
第99回全国高校サッカー選手権大会の2回戦、藤枝明誠対新田が浦和駒場スタジアムで行われた。シード校として初戦を迎えた両チームの対戦は、前半から動きの多い試合となった。 【日程結果】第99回全国高校サッカー選手権 先制点を奪ったのは新田。キックオフからDF大野哲平(3年)のロングスローを起点にシュートシーンを作り出すと、前半8分に空中戦のこぼれ球をMF玉井斗和(3年)が約40メートルの距離からロングシュートを放ち、前に出ていたGKの頭上を越えてゴールが決まる。さらに20分、大野のスローインから発生したPA付近のこぼれ球をMF岡田樹(3年)が左足でミドルシュート。これが相手選手に当たってコースが変わりネットを揺らした。新田は4-4-2の布陣から、ボールを奪えば素早く前線へ展開。ボールを失っても、素早い攻守切り替えからプレスをかけてリズムをつかんでいく。 一方、県予選で前年度優勝校の静岡学園をベスト4で破るなど、4年ぶりの出場となる藤枝明誠にとっては苦しいスタートとなった。松本安司監督も「試合前の選手は緊張していないように見えたが、実際にキックオフの笛が鳴ると緊張があった。失点を覚悟しながら試合を進めた」と振り返るが、飲水タイムの後に反撃へのきっかけをつかむ。25分、相手の中盤がバックパスを送るが、その先のCBの対応があいまいになったところをMF小林(3年)が奪い去り、裏へ抜け出そうとしたところを倒されて相手のレッドカードを誘発させる。これで数的有利となった藤枝明誠。4-4-1-1の布陣で、10番のキャプテンMF中山碧(3年)が様々なエリアでボールを受けて攻撃を組み立てる形が少し前から発揮され始めていたが、その傾向がより強まってゴールを目指す。32分にMF横山良唯(3年)の右CKからDF増田七翔(2年)が放ったヘッドはポストに阻まれるが、前半アディショナルタイムにFW高野雷我(3年)がドリブル突破で左サイドをえぐった折り返しを横山が押し込み、1点を返してハーフタイムを迎える。 後半、新田のベンチが動く。MF濱田拳斗(3年)をCBに投入して、システムを5-2-2へ変更。ゴール前の守備に人数をかけ、その前のエリアは中盤と前線がスライドやカバーを繰り返したり、最終ラインから一人が前へ出ることで対応する。そしてカウンターの脅威を残すことで、粘り強く試合を進めようとした。 それに対して藤枝明誠はボールを保持する中でサイドを使い、相手を動かして体力を消耗させながら攻撃を仕掛ける。後半19分にはキャプテンの中山を下げて、左SBにレフティーのMF中谷未聖(3年)を投入し、左SBだった空中戦に強い永田を前線へ上げる。この「相手もフォーメーションを変えてきた。うちは両サイドを高く上げること、そして前に起点を作りたかった」(松本監督)という采配が的中し、後半28分に攻め上がった中谷の左足クロスを、ゴール前でフリーとなった永田がヘッドで叩き込んで同点に追いついた。試合を振り出しに戻した藤枝明誠は勢いを緩めることなく攻め続けると、後半終了間際についに逆転する。CKの二次攻撃から中谷が放ったクロスをDF寺田昴弥(3年)のヘッドはポストに嫌われたが、その跳ね返りをMF小林洸(3年)が素早く反応して押し込んだ。新田もカバーに入った交代出場の濱田が懸命にクリアしたが、レフリーはボールがラインを割ったと判定。ついに試合をひっくり返して、3-2で藤枝明誠が熱戦を制した。