Yahoo!ニュース

IDでもっと便利に新規取得

ログイン

窮地で“虎の子”ペッパーランチ売却 いきなり!ステーキ復活に賭けた逆張り戦術

配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 ステーキ店「いきなり!ステーキ」が低迷しているペッパーフードサービス(東証一部)に18日、「ペッパーランチを100億円で売却」という報道があった。翌19日には、ペッパーフード株は前日終値576円から17%以上急騰し、久々のストップ高となったのだ。  今年に入ってからの同社を巡る主な動きを整理してみよう。株主総会前日の3月25日にGC注記(継続企業の前提に重要な疑義が生じた状況)を発表。昨年末に発表された69億円の調達を想定した新株予約権の発行は、株価が最低行使価格666円を下回り続け、実際は17億円ほどの調達で終わっている(19日終値676円)。その後、新型コロナウィルスによる営業自粛などで資金繰りがいっそう困難な状況になり、その動向が注目されていた。  そして、4月30日。取締役会で会社分割によりペッパーランチ事業を継承する新会社「株式会社JP」設立を決議。株式会社JPが正式にスタートした6月1日には、主要取引先で大株主の食肉卸大手のエスフーズ、村上真之助社長個人から有担保、無保証による20億円の短期借り入れ(7月31日返済予定)を発表した。 ■再建の鍵を握るエスフーズ社長の村上氏  今回のペッパーランチ事業の売却先は、20億円の融資を個人で行った村上氏率いるエスフーズとコメ卸大手の神明ホールディングスなどの連合体とされている。 「資金繰りの状況から、いきなり!ステーキの再建を断念し分社化したペッパーランチを残すなど、これまでさまざまな憶測がありましたが、虎の子であり社名の由来となっているペッパーランチ事業売却は少し意外だったかもしれません。ただ、一瀬邦夫社長にとって、ペッパーフード躍進の要となったいきなり!ステーキへの思い入れは強い。今回の売却はいきなり!ステーキを立て直し、再起を図りたいという意気込みの表れではないでしょうか」(市場関係者)  ペッパーランチ事業の売却で得るおよそ100億円で財務状況への心配は当面なくなったが、いきなり!ステーキに比べ営業利益率が高く業績堅調で、海外展開も成功しているペッパーランチを手放すことへの疑問があるのも確かだ。 「いきなり!ステーキが苦戦した主な要因が店舗急拡大によるもので、不採算店舗の撤退などでウミを出しきれば、急回復できるという一瀬社長の思惑が感じ取れます」(前出・市場関係者)  しかし、首の皮一枚でつながったペッパーフードの立て直しは、決して容易ではないだろう。新型コロナ以前から業績不振に陥り、コロナによる落ち込みはさらに激しい。宴会など大人数の利用はほとんどないものの、今後コロナ第2波が襲来すれば、業績に赤信号が灯る可能性が高い。  さらに、強硬に店舗拡大を行い、業績不振を招いた一瀬社長の続投や経営能力を問題視する声も株主などから上がっている。 「ペッパーフードは2007年のペッパーランチ心斎橋店での暴行事件や、2009年の食中毒事件によって業績が悪化し、倒産の危機に陥りました。そのとき、手を差し伸べた会社の1つが、今回のJP(ペッパーランチ)買収に名乗りを上げているエスフーズでした。今回ばかりは、村上社長が一瀬社長の暴走を食い止めるための抑止力になると思います」(前出・市場関係者)  もし、いきなり!ステーキが完全復活すれば、ペッパーランチ事業を再び買い戻す可能性もあるだろうと市場関係者は話す。

【関連記事】