大手生保4社、国内金利上昇で債券評価損が拡大-日生は2兆4000億円
(ブルームバーグ): 国内大手生保4社は9日、2024年4-6月期(第1四半期)決算を発表した。金利上昇で運用資産の大半を占める国内債券の評価損が大きく膨らんだ。
日本生命保険の6月末時点の公社債の評価損は2兆4412億円と3月末時点から1兆4296億円拡大した。第一生命保険の国内債券の評価損は1兆3769億円と8991億円悪化。明治安田生命保険の公社債の評価損も3月末時点から7063億円悪化した8677億円となった。住友生命保険は6048億円悪化の1兆49億円だった。
生保は長期の保険契約に対応するため「責任準備金対応債券」という会計上の区分があり、保有債券を時価評価しなくても良いと認められている。各社は公社債の大半を同区分で保有しており、原則として満期保有を前提としていることからも、直接的な収益への影響は限定的だ。
ただ、評価損益の悪化は保険金の支払い能力を示すソルベンシーマージン比率を下げる要因となる。また、大幅な金利上昇に伴う想定外の保険解約などによって評価損を抱えた債券の売却が実現する可能性があり、全体の評価損益が悪化することで資産配分において相対的にリスクを取りにくくなる可能性も出てくる。有価証券運用の重要性は一段と増している。
日本銀行が3月にマイナス金利政策を解除した後、生保が主力の運用先とする30年債の利回りは同月末時点の1.8%台から6月末には一時2.29%と11年以来の高水準を付けていた。
各社の有価証券運用では、円安などにより外国証券の含み益は拡大したものの、国内株式の評価益も減少。全体の評価益は日生が11兆円、明治安田が5兆円、第一生命が2兆円弱などとなっている。
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Nao Sano