【ガソリン車廃止】なぜ中国も2035年? 世界的な電動化、日本にどう影響 ハイブリット大国の悩み
NEV法さらに強化へ
text:Kenji Momota(桃田健史) 中国が電動化戦略でさらに世界を引き離すのか? 【写真】日本で注目のEV 2選【ディテール】 (173枚) 世界最大の自動車製造・販売国、中国の動きで、日本でも日産「アリア」、ホンダ「e」に次いで、トヨタ、スバル、マツダ、スズキから続々とEVが登場するのだろうか? テスラが日本でも売上げをさらに伸ばすのか? 充電器など、社会インフラが十分追い付くのだろうか? こうした話が巷に広がったのは、2020年10月27日だ。 まず、欧米のメディアが、中国政府に強い影響力を持つ自動車系学会が「2035年にガソリン車廃止案を提案した」というニュースを配信した。 その少し後、日本の大手メディアは、日本の経済産業省に相当する中国工業情報化省が正式発表として、同じ内容を伝えた。 さらに、中国政府が示した電動化戦略の工程表についても説明した。工程表によると、2035年には中国の全体需要のうち、50%をNEVにするという。 NEVとは中国固有の呼び方で、新エネルギー車のことだ。具体的にはプラグインハイブリッド車、EV、燃料電池車を指す。 中国では2019年からNEVによる規制と、企業間平均燃費(CAFE)による、いわゆるダブルクレジット状態に入っており、日本の自動車メーカーはCO2規制強化の欧州に加えて、中国対応に躍起になってきた。 そこへきて、2035年規制が発表されたのだ。
カリフォルニア州に連動した?
「2035年までに」といえば……。 今回の中国発表の約1か月前となる、現地時間2020年9月23日に、アメリカ・カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事が「2035年までにインターナル・コンバッション・エンジンの新車販売を禁止する」と発言している。 インターナル・コンバッション・エンジン(ICE)とは、内燃機関を意味し、ガソリンエンジンおよびディーゼルエンジンと同じとして扱われている。 ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車は、内燃機関にモーターを融合させた動力システムである。 機械工学的な見地からはICEを含むが、近年の自動車産業界ではICEとして分類しないのが一般的だ。 そのため、カリフォルニア州の発表では、「ガソリン車禁止」と表現された。アメリカではディーゼル乗用車の割合が極めて低い。 こうしたカリフォルニア州の発表と、中国政府の発表は同じように思える。 ただし、カリフォルニア州の場合、2035年時点で全体需要におけるプラグインハイブリッド車、EV、燃料電池車などの割合を明確に示していない。 その点では、中国政府の「2035年までにガソリン車禁止」の方が、厳しい達成目標であると言える。 こうした米中の発表を受けて、日本はこれからどうなっていくのだろうか?