「脱炭素」でも石破首相〝絶望〟トランプ氏は会ってくれない…日本の再エネ利権で喜ぶのは中国 せめて野党が「電気代抑制」掲げるべき
こうした世界の現状がありながら、日本政府と与党は「再エネ」に突き進む構えだ。国民経済を破壊する「再エネ利権」を放置するのか。
米国では来月、トランプ大統領が復活する。バイデン政権が進めた「グリーンディール政策(脱炭素のこと)」はことごとく廃される。これに代わり「エネルギードミナンス(優勢)の確立」を目指すことになる。
すなわち米国が豊富に有する石油、天然ガス、石炭の採掘を進め、安価なエネルギー供給を実現して、経済を発展させ、軍事力も強化して、敵を圧倒する。
■せめて「電気代の抑制」を基本計画に明記すべきだ
トランプ氏は就任初日の来年1月20日、「パリ協定」の離脱を表明することが確実だ。世界情勢の緊迫で、気候変動問題は、もはや国際的な議題にすらならなくなる。
ロシアは石油と天然ガスを採掘して輸出することで、経済を維持して軍事費を賄っている。中国とインドはロシアから大量に石油を買い、火力発電所を建設し続けている。いずれも「CO2を減らせ」と欧州が説教しても止めるはずがない。
すべての国が協調してCO2をゼロにするなど、元来妄想に過ぎなかったが、地政学的緊張でこれがいよいよ明白になった。
さて、日本はどうするか。3つの策がある。
第1は、下の策で、無為無策。このままエネルギー基本計画にCO2目標と再エネ目標を書きこんで、それをパリ協定に提出する。日本の経済は破滅するが、世界の太陽光パネルの9割を生産する中国は大喜びだ。この愚かな政策をみて、トランプ氏はますます石破首相を相手にしなくなる。
第2は、中の策で、条件闘争。「直線的」な数値目標をやむなく受け入れるが、別途「電気代の抑制」をエネルギー基本計画に盛り込む。電気代は、東日本大震災前の10年水準に比べて、大幅に高騰した。これを「10年水準に戻す」と明記すべきだ。
再エネ大量導入を止め、原子力を再稼働すれば、これは達成できる。電気代目標を設定しておけば、政策を具体化する段階で、電気代上昇につながる愚かな再エネ補助金や再エネ導入規制を止めることができる。