九里亜蓮はメジャー挑戦を諦めてオリックスへ 「年内決着」の見通し立たず夢を断念
【球界ここだけの話】夢はかなわなかった。広島から海外フリーエージェント(FA)権を行使した九里亜蓮投手(33)はメジャー挑戦を諦め、オリックスへ活躍の場を求めた。 「今の選手は『メジャー、メジャー』って言うけど、実際は難しいんだろうな」 広島の球団幹部はそう残念がる。九里は多彩な変化球を武器に在籍11年で通算260試合に登板し、71勝67敗、防御率3・49。2021年に13勝で最多勝に輝き、17年から8年連続で投球回100以上をクリアした実績はあるが、メジャーの40人枠に入る「メジャー契約」を結ぶ見通しはないと判断した。 九里は12月13日に広島市のマツダスタジアムでの記者会見を開き「(移籍を)12月中には決めたいと思っていたが、いろいろと話を聞いている中で11月末に厳しいなと感じた」と語った。実際に広島からメジャー入りした4人で年内に契約がまとまったのは黒田博樹しかいない。 黒田は07年シーズン後に海外FA権を行使し、同年12月にドジャースとメジャー契約を結んだがまれなケースである。前田健太と鈴木誠也はポスティングシステムでメジャー挑戦を表明したが、ともに決着は年明け以降で前田は16年1月にドジャースへ、鈴木は大リーグ労使交渉の決裂によるロックアウト(施設封鎖)の影響で22年3月にカブスへ移籍。高橋建に至っては08年シーズン後に海外FA権行使したが、メジャー契約を結べず、メッツのマイナーからはい上がった。 近年、米大リーグのFA市場の動きが遅くなっていることが、九里が望んだ〝年内決着〟が難しくなった背景にある。12月に球団幹部や代理人が集まるウインターミーティングを開き、〝大物〟から順に契約が決まる。メジャーでのプレー経験のない日本選手の契約は必然的に遅くなる。 今季、ドジャースの大谷翔平が2年連続MVPに輝き、日本選手の評価は高まっているが、それは一部だけ。夢のメジャーでプレーするためにはメジャー契約を勝ち取る自信と、仮にマイナー契約になったとしてもそこからはい上がる覚悟が必要なのだろう。(柏村翔)