【小児科医が解説】中学受験で「関係にヒビが入る親子」と「絆を深める親子」の決定的な違い
● 「自分から言ったくせに」は 親子関係にヒビを入れる呪いの言葉 でもそこで親が期待しすぎてはいけません。子どもはそのときはそんなふうに言っても、結局はできないことのほうが多いのです。「あのときこう言ったのに、やってないじゃないの」とヒステリックに責めないよう、心の中では「どうせできないだろうけどね」くらいに構えておく。さもなければ結局、親子ともどもまた苦しい世界に落ちてしまいます。 たとえばこんな事例がありました。中学3年生の子が、「勉強に集中するのに邪魔だから、お母さん、僕のスマホを預かっていて。勉強に疲れたとき30分だけ返してもらってゲームで気分転換したら、また戻すから」と自分から宣言したので、お母さんは「自分でそこまで決めて、偉いね。わかったよ」と喜んでいたのですが、案の定、2カ月後には30分だけと思ってスマホを渡したら、2時間ぶっ続けでゲームをやってしまった。
「自分から言ったくせに」とカッとなったお母さんが責め立てたところ、子どもはパニックに陥り、関係が悪化。以後、勉強に向かわなくなってしまうわ、口も聞いてくれないわで断絶状態になったといいます。 これは、我が子の言葉を鵜呑みにしたお母さんの責任です。それまでの2カ月間、30分でちゃんとスマホを返していたことのほうを褒めるべきでした。 「今までのあんたならあり得ないよね、すごいね」と認めていれば、ある日に2時間やってしまっても、「これが元々なのだから、驚いたりはしない」と笑顔で対応できたでしょうし、そんなお母さんの大らかな態度を見た子どもは、「明日はそうならないように、頑張ろう」と思えていたはずです。 それを「ほら、あんたはやっぱり約束を守れない」と頭から言われてしまっては、その言葉が呪いとなり、「やっぱりお母さんは僕を信用していないんだ」とやる気をなくしてしまいますよね。
成田奈緒子