【小児科医が解説】中学受験で「関係にヒビが入る親子」と「絆を深める親子」の決定的な違い
娘は家族全員の朝食を中学生の頃から作っていましたし、大学受験の浪人中はほとんどの家事を任せて彼女が担っていました。本人は「不幸な私は、灰かぶり姫のようにお母様のお世話をしなければならない……」と、芝居がかったセリフを言っていましたが(笑)。 あらゆる脳の部位を駆使しなければできない家事は、絶好の脳育ての機会、脳トレになります。多種多様な家事をこなすには、時間配分を考えなければなりませんし、いくら料理が好きでも1日中台所に立っていては、受験勉強の時間が確保できない。できるだけ短い時間で効率よくこなすにはどうしたらいいか、脳をフル活用しての工夫が必要です。 親としても、浪人生の娘に家事を任せるというのは、相当な覚悟が要りました。もし家事が負担になって、もう1年浪人するようなことになったら、きっと親として後悔するだろう、と怖かった。それでも信じようと覚悟を決めて、任せたのです。
● 我が子が中学受験に臨むとき 親が持つべき「落ちる覚悟」 我が子に中学受験をさせる親御さんの多くは、絶対にこの子を合格させなくてはと思うあまり、生活全般の世話を引き受け、時には先回りするほど世話を焼いているのではないでしょうか。でも、大事なのは落ちるリスクを片っ端から排除することではなく、「それでも落ちる可能性はある」と覚悟しておくことではないかと思います。 どんなに受験勉強に打ち込んでいたとしても、確率として、我が子が受験校の合格に縁がなく、地元の公立校に行かざるを得なくなる可能性はあるわけです。それなら「公立に行けば、近所のC君も一緒だし、きっと楽しいよ」「嫌だったら受験しないで、初めから公立にしたっていいんだよ」と声をかけるという選択肢もあるはずです。 特に中学受験の場合は、たとえ不合格でも、近くの公立中学が待っていてくれています。落ちてしまったお子さんには、「公立があってよかったね、ラッキーだね」と言ってあげればいいのです。