「ハリスもトランプも米国に好ましくない選択だ」トランプ氏元側近が語る大統領選とその後の展開
トランプ氏が勝っても負けても、共和党の将来をかけた戦いは続く。その覚悟はできている。というのも、国家安全保障の観点から見れば、国際情勢において、「強いアメリカ」による平和の実現というレーガン大統領のアプローチを信奉することが重要だからだ。 共和党員の中には、トランプ氏に1票を投じるとしても現状に満足していない人がわんさといる。彼らはトランプ氏のほうがましな選択だと考えているだけだ。仮にトランプ氏が負けても、4年後の大統領選で、ほかの共和党候補者が選ばれれば、きっとハリス氏を倒せるだろう。
■トランプ氏はアメリカ政治で「常軌を逸した存在」 ――あなたは前述のFPA主催記者会見で、トランプ前大統領が負ければ、「その影響力は、たちまち消え失せるだろう」と指摘しました。トランプ氏には、共和党が継承すべき「(政治)哲学・理念」がないからだと。 世間では、あたかも「トランピズム」なるものが存在するかのようにいわれている。つまり、「イズム(主義)」と呼ぶべき哲学や理念があるかのように思われているが、実のところ、そんなものはない。すべてはトランプ氏の「特異性」でしかない。
彼の意思決定は、その場限りのものであり、必ずしも一貫性がない。損得勘定に基づいた取引なのだ。現時点ではバンス副大統領候補が後継者のように見えるが、継承すべき実質的なものは何一つない。 トランプ氏は、アメリカの政治において常軌を逸した存在だ。『スター・ウォーズ』のタイトル「A Disturbance in the Force」さながらに、アメリカ政治の「disturbance(混乱、かく乱)」そのものだ。ひとたび政界を離れたら、彼の影響力は急速に弱まるだろう。
――9月25日付ワシントン・ポスト紙の記事「The nativists have taken over the GOP(移民排斥主義者らが共和党を乗っ取った)」によれば、CNNの世論調査で、人種や民族、国籍の多様性が増すとアメリカ文化が脅かされる」と答えた共和党員は 55%に上るといいます。5年前は21%だったそうです。こうした状況下でも、トランプ氏の影響力はすぐに低下すると思いますか。 そう思う。(次期大統領選では)ほかの共和党指導者らが自らの将来をかけて競い合うだろう。トランプ氏は、まさに「過去」を象徴する候補者だ。これから先、何年も生きるだろうが、ジョニー・カーソン(注:2005年に他界したテレビ番組司会者・コメディアン)の話題など、昔話に明け暮れるだろう。