沿岸サケ漁、止まらぬ不漁 11月上旬時点でわずか4950匹 青森県内 「過去最少」前年度比65%減
青森県は21日、2024年度の青森県沿岸のサケ漁獲数が11月上旬時点までの累計で4950匹にとどまり、過去最少だった前年度の同時期を65%下回ったと明らかにした。親潮の勢力が弱まったことにより、生育に適した水温を継続する期間が短かったことや、餌となる動物プランクトンが減少していることなどが主な要因。太平洋の漁獲数落ち込みが最も深刻で、前年度の4分の1程度に減った。 同日の県議会農林水産常任委員会で、北向由樹委員の質問に県水産振興課の種市正之課長が答えた。 県内のサケ漁は、8月から翌年の1月ごろまでで、主な漁期は11月と12月とされる。 県水産振興課によると、近年はサケの漁獲量が全国的に減少しており、青森県でも成魚の不漁で卵を十分確保できなかった年があった。また、海水温の上昇でサケの分布域に温かい水温を好むサバなどが増加し、サケの稚魚を捕食した可能性もあるという。23年度の青森県沿岸の漁獲数は、統計を取り始めた1960年以降で最少の5万9042匹だった。 24年度の海域別漁獲数は、太平洋が2120匹(前年同期比73.1%減)、津軽海峡1285匹(同56.1%減)日本海1517匹(同55.7%減)など。漁獲金額は、太平洋が695万5千円(同71.6%減)、津軽海峡433万1千円(同50.2%減)、日本海469万5千円(同48.3%減)だった。 県はサケの漁獲状況改善のため、昨年まで北海道から卵の提供を受けていたが、今年は北海道でも不漁が続いていることから、卵を確保できるか不透明という。 種市課長は答弁で「サケの回帰率向上に向け、県内のふ化場で生残率が高い大型稚魚の育成強化や稚魚の飼育期間短縮を目的とした実験に取り組んでいく」と説明。今後の見通しについては、まだ漁期が終わっていないので何とも言えない-とした。