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SING LIKE TALKING西村智彦「料理人の包丁のような感覚」自身とギターの関係性に迫る:インタビュー

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 SING LIKE TALKINGのギタリスト西村智彦が8月26日、2015年『WONDERLAND』より5年ぶりとなるソロアルバム『combine』をリリースした。今作は「Horizon Drive」や「Waltz♯4」などSING LIKE TALKINGのシングルのカップリングとして収録された曲に加え、新曲「spill」と98年にリリースされたソロアルバム『Graffiti』から「Streaming Cloud」をセルフカバーした全8曲を収録。インタビューでは今作の制作背景からインスト作品が好きな理由、2016年に逝去した松原正樹さんとの思い出、音作りやアレンジについてなど多岐にわたり話を聞いた。【取材=村上順一】

カッコいいタイトルが苦手

――今作はどのようなコンセプトで制作されたのでしょうか  全く構想はなかったです。というのもSING LIKE TALKINGのシングルにカップリングとしてインストを入れていたんですけど、それらが沢山あったので、「アルバムにしませんか?」とレコード会社からオファーをもらったんです。なので、コンピレーションのようなアルバムになるんだろうな、と思ってました。でも、曲を並べてみたら、あたかもこのアルバムのために作ったかのような感じになっていて、自分でもびっくりしました。 ――アルバムのタイトルを『combine』と名付けたのは何故ですか。  僕はカッコいい系のタイトルとか苦手な方なんです。最初はシンプルにインストのアルバムなので『インスト』にしようと提案したんですけど、それは流石に通らなかった(笑)。それで何か良いのがないかなと考えていたら、このアルバムの曲はSING LIKE TALKINGのシングルのカップリングとして収録され、それぞれ違う役割を持っている曲たちがひとつに集まっているなと思い、融合や統合という意味のタイトルが良いんじゃないかと思いました。  それで色々調べたんですけど、その中に『combine』と出まして。農機具のコンバインは刈り取りから脱穀、選別までの3工程を出来るというもので、それはタイトルとしてもいいなと思いました。その時にアルバムジャケットのアイデアも一緒に出てきて、知り合いのイラストレーターと飲みながら詰めて行ったんです。 ――今回、新曲「spill」とニューレコーディングされた「Streaming Cloud」が収録されています。  今回ニューレコーディングさせていただいた経緯として、5年くらい前に青森の方でイベントがありまして、そこで僕がソロとして演奏する依頼が来たんです。それで、ソロとしてできるようにカラオケを作ったんですけど、その時に過去の曲を焼き直ししたオケを作りました。それが思いの外、自分でも気に入ってしまって、これを世に広める方法はないものかと考えていたんです。それで、アルバム制作の話があったので、今回収録させていただきました。 ――「Streaming Cloud」は98年にリリースされた曲ですが、現代にもピッタリで、当時つけたタイトルとは思えませんでした。  なるほどね。それは全然関係なくて、そのまま流れる雲という意味でつけたタイトルでした。僕が小学生の時に遠足に行った高原がありまして、その芝生に寝転がって空を見上げた時に、高原なので雲が近くて、ものすごい勢いで流れていたんです。でも地上は穏やかな風だったんですけど、それがすごく印象に残っていて。 ――アルバムは新曲の「spill」からスタートしますが、この曲は変拍子で独特の雰囲気があります。  6/8拍子と7/8拍子で構成されています。この曲は最初のリフしかなくて、そこから作りながら最後にサウンドまで出来てしまった感じです。流れとしてはとりあえずアコギを入れようかなと思って、SING LIKE TALKINGのサポートで参加してもらっているギタリストの金澤(健太)くんにウチに来てもらって、アコギを弾いてもらって、それを聴いて僕がコードとか構成を色々考えるんです。他の人に弾いてもらうことによって、意外と俯瞰で考えることが出来たりするんで。 ――タイトルとの関連性はどんなものですか。  最後にバシャっとパーカッションの音が入っているんですけど、その音が僕には机の上のコップが倒れて水がこぼれたように聞こえたので、spill=こぼれるからきたタイトルなんです。 ――面白いですね。この楽曲にはシタールの音色も入っていますが、インド系の音楽もよく聴かれるんですか。  これも思いつきで入れた音なんです。僕はシタールが入ってくるセクションの入り口が門が開くようなイメージがありました。そこに怪しいシタールの音色が入ってきたら面白いかなと。「Streaming Cloud」ではパーカッションとか民族系の音を使っていたりします。インドの音楽はまだよくわからないですけど、エスニックな異国情緒あふれる音は以前から好きでした。 ――さて、西村さんはギターインストのどんなところに魅力を感じていますか。  ギターだけではなくインストは子どもの頃から好きでした。パーシー・フェイス・オーケストラなどのイージーリスニングとか。僕が幼稚園の頃、実家は商売をやっていて両親が店に出ていていなかったので、まだ高校生だった叔母が、僕の面倒を見てくれていたんです。高校生なので音楽を色々聴いていて、叔母はインストが好きでよく聴かせてもらっていているうちに、僕も好きになってしまって。  テーマがあって、ソロにいってまたテーマに戻るジャズ要素があるインストよりも、楽曲として最後まで聴かせる、歌ものに近いインストが特に好きでした。なので僕も演奏するならそういう方がいいなと。なので、ソロがいらない曲に無理やりソロパートを入れるとかはしたくないんです。だから僕の場合、短い曲は極端に短いんです。今作でも「Howl!」は、普通ソロとか入れたくなると思うんですけど、それは違うと感じたのでいれなかったんです。けどそうした結果、超短い曲になってしまったと(笑)。

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