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DCM HDは島忠の完全子会社化で首位奪還も…M&A路線を突き進む【企業深層研究】

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日刊ゲンダイDIGITAL

【企業深層研究】DCM HD(上)  ホームセンター大手のDCMホールディングス(HD)は今月2日、同業の島忠をTOB(株式公開買い付け)で完全子会社にすると発表した。買収額は最大1636億円。  島忠株の買い付け価格は1株当たり4200円。TOB公表前日の終値3555円に18・14%のプレミアム(上乗せ幅)をつけた。TOBがNHKで報じられる前の9月18日の終値と比べると45%高い。  買い付け期間は10月5日~11月16日。買い付け予定株数の下限は島忠の保有分を除く発行済み株式の50%としている。  DCMHDの売上高は4373億円(2020年2月期)、島忠は1535億円(20年8月期)。単純合算の売上高は5908億円となり、カインズ(本庄市=非上場)の4410億円(20年2月期)を大きく引き離し業界のトップに立つ。  今月2日、東京都内で記者会見したDCMHDの石黒靖規社長は「新型コロナで需要は伸びているが競争は激しくなっている。商品力を強化するためには企業規模が必要だ」とTOBの狙いを語った。  一方、島忠の岡野恭明社長は「都市部が商圏の島忠と地方中心のDCMは地域的な補完関係が高い」と強調した。  DCMグループは06年、北海道のホーマック(札幌市)、中部のカーマ(刈谷市)、四国のダイキ(松山市)の中堅3社が経営統合して、DCM Japanホールディングス(現DCMHD)を設立したことに始まる。15年にサンワドー(現サンワ=青森市)、16年にくろがねや(甲府市)を完全子会社にするなどM&A(合併・買収)路線を突っ走る。  8月末時点で全国に約680店を展開する。島忠は約60店舗を持っており、店舗数は700を超える。  ホームセンターの大型再編で話題を集めてきたDCMHDだが、直近の大型案件は17年に資本提携した千葉地盤のケーヨーぐらい。ホームセンター「ケーヨーデイツー」を展開する同社に19・29%(20年2月期)を出資し、筆頭株主だ。  06年の統合からDCMHDの売り上げは1割程度しか増えていない。傘下の事業会社は北海道、東北、四国など地方が多く、人口減で将来的に伸びは期待薄だ。 ■M&A路線を突き進む  20年2月期に業界首位の座をカインズに奪われた。カインズはベイシアグループの中核企業。ショッピングセンターの「ベイシア」、作業服専門店で、今売り出し中の「ワークマン」、コンビニの「セーブオン」などで構成されている。グループの総売上高は1兆円に迫る勢いだ。  カインズにトップの座を明け渡したショックは大きかった。石黒社長は「成長が見込める都市部を強化する必要がある」との判断に傾いた。  島忠は東京、埼玉、神奈川の都市部に店舗がほぼ集中している。都市部でホームセンターのような大規模な土地を取得するには多額の費用がかかる。島忠を傘下に入れる方が手っ取り早い。  島忠の発祥は1893年。島村忠太郎氏が桐ダンスの産地、埼玉県春日部市で「島村箪笥製造所」を創業。1960年以降、家具小売りに転じ、78年、ホームセンターに進出した。島忠は家具で日本一だった時期もある。その後、同じ春日部発祥の大塚家具、北海道から東上してきたニトリHDへと覇者は移っていった。  島忠が低迷した原因は家具とホームセンターで働く人々が、互いをライバル視したこと。祖業の家具と後発のホームセンターを一緒にやることに家具作りに誇りを持っていた職人は強い抵抗感を示した。島忠の役員構成を見ると、社長や取締役は家具出身者で占められた。17年に就任した岡野社長も家具閥だ。  島忠は生き残りを懸けて、DCMHDからの買収提案を受け入れた。  新型コロナウイルスの感染拡大で、日用品や園芸品を扱うホームセンターは好調だ。それでも、都市部は競争が激しくなっている。巨大ホームセンター「ムサシ」を展開する、新潟が地盤のアークランドサカモトは、東京や神奈川に店舗を持つLIXILグループ傘下の「LIXILビバ」を1000億円を投じて買収、11月に完全子会社にする。年商は3000億円を超え、業界5位に躍進する。  DCMHDのライバルのカインズは7月、ららぽーと海老名(海老名市)に首都圏で初めて出店し、8月に「みなとみらい東急スクエア店」(横浜市)にも新規オープンした。  DCMHDは島忠を傘下に収めた後もM&Aの手を緩めないつもりだ。

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